横浜市と東急電鉄が6月に発表したプロジェクトが動き出しています。
横浜市が国の選定を受け推進している「環境未来都市」計画の主要プロジェクトとして実施する「次世代郊外まちづくり」について、その第1号のモデル地区をたまプラーザ駅北側地区(青葉区美しが丘1~3丁目 面積:約120ha)に決定。
モデル地区選定理由は下記の通り。
(1)たまプラーザ駅北側地区は、東急田園都市線沿線で初期に開発された地区の一つで、 開発以来約50年が経過し、住民の高齢化、建物等の老朽化が顕在化しつつある。
(2)戸建住宅街、大規模団地、企業社宅や商業施設等、多様な形態で「まち」が構成されている。
(3)住民発意の建築協定や地区計画の策定、また昨年10月に開設された「美しが丘ボランティアセンター」など、先進的なまちづくりに取り組んでいる基盤がある
まずは第1号ということで、今後広く展開していくものと思いますが、先日、7月14日には、「次世代郊外まちづくりキックオフフォーラム~【Re郊外】発想の転換と市民の行動で郊外は 魅力的に生まれ変わる!~」を開催。今後は地域の方々とのワークショップ等を開催し、来年3月を目途に「次世代郊外まちづくり構想」の策定が計画されています。
1軒の家も建てたら終わりではありません。時間ともにメンテナンスが必要。道路や橋、下水道など社会資本の老朽化対策も安全安心のまちづくりには必要不可欠。そのため我が党では「防災・減災ニューディル政策」を掲げて推進しています。たまプラーザでの次世代郊外まちづくりについても、いつまでも魅力的で住み続けたい街であり続けるために重要なプロジェクト。そこに今回のような地域の声を反映させていこうという試みは素晴らしいこと。田園都市線沿線が、青葉区が、そして横浜がまた魅力的になっていく一歩ではないかと思います。
今月の日経ヴェリタスに「日本の暮らし丸ごと輸出 ベトナムに東急田園都市」と題した特集が組まれていました。私は学生時代やサラリーマン時代に円高が始まった時期のマレーシアやシンガポール。アジア通貨危機を乗り越えた頃から中国の蘇州市に駐在していましたが、それぞれの地域で日本文化が勢いを持って取り入れられる時期に居合わせましたのでわかるような気がします。様々なご意見はありますが、やはり日本のまちづくりは羨望の対象になろうかと思います。
「生活水準の向上とともに成長してきた日本の内需企業。そのノウハウを海外に持ち込み、収益を得ようと、新興国に乗り出している。最終製品に加え、日本の生活様式や食文化を根付かせ、新たな需要をつくりだそうとしている。「ジャパンウエー(日本流)」の輸出に勝機を見いだす企業の取り組みを追った。
■「田園都市」にスーパーや百貨店も進出へ
多摩田園都市をアジアで再現する――。東京急行電鉄のこうした試みがベトナムで動き出す。
ホーチミンから北へ約30キロ。ビンズン省の広大なゴム林跡地に職住商一体型の新都市の建設計画が進む。広さは約110ヘクタールと、東京西南部の丘陵に広がる多摩田園都市の30分の1ほどの大きさ。2020年ごろまでに高層マンションと戸建て計7500戸を分譲する。歩行者と車の通行を分離、植栽をふんだんに配置し、緑豊かな街にする計画だ。
東急は資本金の65%、約200億円を出資し現地企業との合弁会社を設立。この合弁会社が実際の運営を担う。事業規模は1000億円に上る見通しだ。新たにできる都市には「TOKYU」の名をつけるという。
11年のベトナムの1人当たり国内総生産(GDP)は1374ドルで、日本の45年前の水準。ちょうど東急が田園都市の開発を本格化し始めた時期と重なり合う。現地のニーズを見極めたうえで、食品スーパーや百貨店などの流通事業、バス事業でも進出を狙う。
街づくりのノウハウをパッケージにしてアジアに持ち込むという、かつてない事業に動く背景には深刻な内需低迷がある。私鉄では日本最大だが、子会社の売却もあり12年3月期の売上高は1兆942億円と、5年前に比べ約2割減った。「街まるごと輸出」をテコにして、現在は1%未満の海外売上高を拡大し、成長力の回復を狙う。
■日本流の消費生活を移植
日本の総人口は伸び悩み、「高齢化で1人当たりの飲食量が減るなど消費の中身も劣化している」(日本政策投資銀行の鍋山徹チーフエコノミスト)。一方、総合研究開発機構の調査によると、日本を除くアジア10カ国・地域で世帯可処分所得が5000ドル以上の中間・高所得層は今後10年でほぼ倍増し、19億人を突破する見通し。ここに日本流の消費生活を根付かせることができれば、内需企業にとっては成長の起爆剤になる可能性がある。
規模は小さいが「街」輸出には成功例がある。中国・北京から西へ約2500キロ離れた新疆ウイグル自治区のウルムチ市。その中心部で地下街を14年前から運営するのは中堅繊維商社の辰野(大阪市、非上場)だ。
「会計時は立って対応する」「買い物をしない客も笑顔で送り出す」など、きめ細かい日本流の接客術を従業員に教え込んだ。現在の広さは開業当初の3倍強の1万2000平方メートル。資生堂など100以上のテナントが入居する。ウルムチ随一の婦人ファッション街だ。
「資源が豊富で中央アジアとの交流も盛ん。発展が見込めると考えた」と辰野の幹部はいう。今年4月には、独フォルクスワーゲンが新工場建設を決めるなど外資の進出も進んでいる。
高齢化の進んだ日本の経験を生かし、安心・安全な暮らしをアジアに売り込もうとしているのがセコムだ。中国では従来の警備事業に加え、上海・浦東地区に富裕層向けの高級有料老人ホームを開設。120室の9割以上は介護を必要としない人向けで、娯楽などきめ細かなサービスを提供する。インドでは約300床規模の病院経営に参画。人口が増えているインドは病床数が不足しており、「5~10年で2万床規模の病院チェーンを築きたい」(安田稔理事)という。
豊かな暮らしに欠かせない食文化の輸出でも日本企業の動きはより戦略的になっている。ハウス食品はカレーを食べる習慣がなかった中国で、五輪選手の養成機関に協賛し、選手の食堂にカレーを提供するなど知名度向上に力を入れてきた。今では都市部で徐々にカレー文化が浸透。壱番屋との合弁で「CoCo壱番屋」を展開し、人気を集めている。
「学歴信仰の強いアジアでは教育にお金を掛ける傾向が強い」(三菱総合研究所の郡司倫久主任研究員)といい、今後は塾など教育システムの輸出も活発になりそうだ。高度な消費社会が台頭し始めたアジアで戦後築いた日本流の真価が問われようとしている。
幅広い分野で進むジャパンウエーの輸出。企業同士の連携や官民一体となった取り組みも広がっている。
広さや入居店舗の多様性から日本一ともいわれる大阪の地下街。大阪市民の日々の暮らしに深く浸透しているこの地下街の運営ノウハウを、中国・北京市に売り込む交渉が進んでいる。主導するのは大阪商工会議所だ。
北京市中心部は地上開発がすでに飽和状態に近い。地下空間を活用できれば、渋滞や天候を気にせず快適に買い物ができるようになり、都市の活性化につながる。大商の佐藤茂雄会頭は「関西のおもてなしの文化で、中国の発展に貢献したい」と意気込む。
すでに佐藤会頭らは昨年から複数回、中国を訪問。中国側の担当者も大阪を視察に訪れている。商業施設が集積する北京市東城区の王府井地区が建設の有力候補地だ。計画が動き出せば「ホワイティうめだ」や「なんばウォーク」を運営する第三セクターの大阪地下街(大阪市)、佐藤会頭の出身母体で商業施設運営も手掛ける京阪電気鉄道、伊藤忠商事などが主体になり事業を進める見通しだ。
地下街を丸ごと開発することに伴う恩恵は、こうした事業主体だけにとどまらない。技術的に難しいとされる地下の掘削工事のほか、下水の処理や空調工事など関連ビジネスの裾野は広い。大商が先頭にたって交渉に動くのも、大企業だけでなく中小企業への波及効果を期待しているからだ。
新興国のインフラ整備では事前調査から資金調達、建設、運営まで手掛ける「パッケージ型」が主流となりつつある。みずほコーポレート銀行産業調査部の坂下欣吾参事役は「調査段階から関与できれば、発注側の意向をよく理解できメリットが大きい」と語る。日本企業は個々の製品や技術で優れていても、総合的な受注能力で後れをとるといわれるだけに、企業の連携による大阪の地下街輸出はパッケージ型の新しい形として注目されそうだ。
■インフラ輸出、アジアで火花
豊かな生活に欠かせない水のビジネスを巡っては、地方自治体と企業との連携が課題になる。水源開発から給水、料金徴収まで一貫して手掛ける「水メジャー」が存在する海外と異なり、日本では上下水道の運営ノウハウを地方自治体がほぼ独占してきたからだ。
東京都や横浜市は、漏水率の低さや水質管理といった高い技術を武器に、民間企業と共同でハノイやジャカルタでの施設建設や、その後の運営受注を目指している。経済産業省によると、世界の水ビジネスの市場規模は2025年に86.5兆円に達する見通し。横浜市が全額出資する横浜ウォーターの吉野稔也マネジャーは「長年にわたり、安定した収益が見込める海外事業は官民双方にとって魅力が大きい」と語る。
金融・証券インフラ輸出も本格化している。民主化の進展に伴い「東南アジア最後のフロンティア市場」として、注目を集めるミャンマー。東京証券取引所グループと大和総研は5月、ミャンマー中央銀行との間で証券取引所の設立支援に関する覚書を締結した。
大和総研は経済制裁下で15年以上にわたり店頭株売買を担う合弁会社「ミャンマー証券取引センター」を運営してきた。東証は長年の信頼関係を活用して、取引所の制度やシステムの設計に関する助言のほか人材育成にも取り組み、15年までの証取開設を目指す。
東南アジアの証券市場整備を巡っては、韓国証取がラオス、カンボジアを支援。いずれも韓国製のシステムを採用しており、ライバルとの競争も激しさを増している。
みずほコーポレート銀の坂下参事役は「新興国市場では高品質・高技術でも価格が高ければ受け入れられない」と強調する。現地のニーズをくみ取るための戦略が欠かせない。
■「現地では独自の戦略が必要」
早稲田大学ビジネススクールの内田和成教授は、日本企業のグローバル化はモノの輸出から始まったが、品質、コスト、納期の正確さといった以前の強みは中国や韓国勢の台頭で色あせ、負け始めている。サービス、コンテンツ、ファッションなど内需型の産業に期待が向かうのは当然の流れだ。
売って終わりの製品販売と異なり、(消費者に直接向き合う)サービス財は生産と消費が同時に起こる。現地でサービスを提供できる人材をどうやって確保し、育成していくのかが各企業の課題になる。
文化的に近い東アジアではある程度うまくいっても、それ以外の地域でビジネスを拡大していくには、それぞれの企業が自分だけの「解」、つまり独自の戦略を持つ必要がある。
ヤクルト本社(2267)は現地生産、現地販売で雇用を増やして地域に溶け込み、ブラジルや欧州でも乳酸菌飲料の販売網を築いた。公文教育研究会は日本で築いた自主学習のノウハウを現地にうまく適応させ、日本を含めた世界47カ国・地域で教室を展開する。こうした本当の意味でのグローバル化を実現している企業は一握りにとどまっている。
心配しているのは、成熟市場に慣れきった日本の企業人が、成長市場での戦い方を誤ることだ。成長市場では、シェアはカネで買ってもいい。収益は後から付いてくるからだ。
それなのに、市場規模の倍増を前提にした計画を現地が立てると、日本の本社がブレーキをかける。中国の自動車市場などで実際に起きたことだ。業態にもよるが、中途半端な投資では、シェアを落として負け犬になるだけだ。
■「群を抜く『おもてなし』 アイデアも豊富」
日本貿易振興機構サービス産業課長 北川浩伸氏は、内需型企業の海外進出は、1980年代後半、急激な円高への対応を迫られた製造業と似た段階にある。2000年代に入り、特に「BtoC」型企業の進出が盛んだ。流通、小売り、外食、教育産業の進出は一巡しつつあり、今後はIT(情報技術)、物流、建設、金融といった業種が増えていくだろう。
日本は過去60年で急速に消費の高度化をなし遂げた世界でも類を見ない国だ。経営者は30年ほど前の自らの経験を振り返り、新興国でのビジネスに生かすことができる。金沢市のハチバンのように東京や大阪といった国内大都市圏での消耗戦を避け、直接海外に向かう動きにも注目している。
日本のサービスを形容するキーワードとして、「おもてなし」という言葉が用いられる。海外から日本に来た人たちが感動するのは、日本の飲食や流通小売りの現場で働く人たちが、丁寧で心のこもったサービスを誰に対しても提供しているからだ。相応のサービスには相応の対価が必要な欧米との違いでもある。加えて、国内の激しい競争の末に身に付けた商品開発やサービスを工夫する際のアイデアの豊富さでも日本企業は群を抜いている。
進出先で成功を収めている企業の共通点は3つある。1つは信頼できる現地のパートナーを確保していること。2つ目は経営者が現地に足を運び、市場を見て回っていること。3つめは進出地域を限定せず、違いをよく分析していることだ。同じ国でも消費の熟度は都市ごとに異なる。自社の商品やサービスが現地のニーズに合っているか。よく見極めなければならない。」
いかなる環境も変化しますし、企業においても個人においてもそれ対応し、より良くするためには更に先んじることが求められます。何をするのも基本は人間。こうした特集を読みますと、もちろん日本国内で活躍する方も大事ですが、自らの心の壁を超え、言葉にも挑戦し、世界に出て行くことができる人材の育成が益々重要になっていることを感じます。