安全・安心の横浜へ 「何を言ったかでなく、何をやったか!」

公明党 横浜市会議員(青葉区) 行田朝仁 (ぎょうた ともひと)

古本転売「せどり」で稼ぐ人々について 2069

未分類 / 2012年7月21日

昨日は涼しくて助かりました。

我が家の子供たちも今日から夏休み。それぞれの日常も変化しますが、読書の夏、成長の夏になるよう願っています。

日経新聞によりますと、ブックオフで古本を買い、アマゾンで売って利ざやを稼ぐ「せどり」と呼ぶ隙間ビジネスを手がける人が増えているそうです。不況による収入減を補おうと参入する人もいれば、月収30万円でサラリーマンばりに稼ぐ主婦も。古本流通の一端を担う存在となった彼らの実態に迫っています。

 「東京都千代田区にある新古書チェーン、ブックオフ秋葉原駅前店の入り口には、すでに10人ほどの列ができている。午前10時の開店時刻。店内になだれ込んだ彼らはエスカレーターを駆け上っていく。向かうのは4階の隅にある棚。単行本が105円で売られているお買い得コーナーだ。小型のバーコードリーダーや携帯電話を握りしめ、古本を物色する。

 彼らは「せどらー」。新古書店で古本を安く仕入れ、アマゾンの「マーケットプレイス」などユーザー参加型の中古品販売サイトで一般の顧客に売る。

 古本を仕入れたらネット経由でアマゾンなどに出品登録。購入者が現れると連絡が入り、発送作業に移る。販売価格はせどらーが自由に決められるが、例えば105円で仕入れた本が1000円で売れたとすると、アマゾンへの手数料などを差し引いた685円が利益として手元に残る。バーコードリーダーは、目の前の古本がアマゾンでいくらの値がついているか調べるのに使う。

 新宿区に住む50代の女性は、半年前からブックオフ秋葉原店を仕入れ場所にしているせどらーだ。毎日、開店と同時に店に入り、2時間かけて20~30冊の古本を買いこむ。経営していた飲食店を人に譲ってからは家賃収入などを頼りに暮らしてきた。将来への不安から、新たな収入を求めてせどりを始めた。

 せどり歴2カ月の男性は26歳。専門学校でプログラミングを学んだ後、インターンとしてソーシャルゲームの開発会社で働いたが、本採用には至らず、ネットで就職活動の情報収集をしているときにせどりを知った。約4万円でバーコードリーダーを手に入れ、アルバイトのある日は4時間、ない日は8時間、古本選びに費やす。

 古本屋を回って掘り出し物を見つけ、他の店で高く売って稼ぐ手法は江戸時代からあるそうで、「競取り」や「背取り」と呼ばれていた。せどらーが増えたのはアマゾンジャパンがマーケットプレイスを始めてからとされる。2002年11月のことだ。

 ブックオフのような大型の新古書チェーンが台頭したところに、出品や購入者とのやりとりを簡略化できるアマゾンのネットサービスが登場し、新たな個人ビジネスが成り立つ余地が生まれた。

 大きな初期投資が不要で、参入しやすいビジネスだけに、せどらー人口は千人単位で存在するようだ。多くの場合、収入が月5万~10万円以下とちょっとした小遣いレベルだが、サラリーマン並みに稼ぐつわものもいる。せどり歴5年で世田谷区在住の主婦は、子育ての合間を縫ってのせどり活動で月に30万円稼ぐ。

 月30万円も稼げるのは、扱う商品を絵本や女性向け雑誌に絞り込んでいるからだ。男性が見落としがちな主婦ならではの視点で高収益の売買サイクルをつくる。月収が100万円以上というせどらーもいるという。

 ブックオフの元店長は「1店舗の売り上げの2~3割がせどらー向け」と証言する。「ブックオフはせどりと共存共栄したいと思っているはずだ」。アマゾンにとってもせどらーはいい顧客のはずだ。古本の出品でアマゾン全体の品ぞろえを支えるだけではない。マーケットプレイスの手数料はアマゾンの収入源の1つだからだ。

 だが、最近はせどらーに逆風も吹く。アマゾンは8月に商品の保管・発送を代行するサービスの手数料を現在の2倍ほどに引き上げる計画。古本やCDなど1点につき65~80円程度の値上げで、薄利多売のせどらーには痛い。ブックオフコーポレーションも粗利率をあげるためとの理由で「セールを減らす」と宣言した。

 「脱ブックオフ、脱アマゾン」をめざすというせどらー、池末健氏が話す。「これからは古本にこだわらず、CDやDVD、フィギュアなどを扱うことも考えたい」

 大手新古書チェーン、電子商取引サイトという新興大企業の隙間に生まれたせどりは、大企業の方針転換に翻弄されやすい。知恵と行動力を問う厳しいビジネスに変質しつつあるのかもしれない。」

諸行は無常。いつの時代も変化の連続。右肩上がりの時代は終わり、能動性がより求められる時代に。社会も人も細胞も変化こそが生きている証。私も進化していきたいと思います。

減災対策 より重要になる地域の声について 2068

未分類 / 2012年7月20日

昨日は減災対策推進特別委員会。今年度の調査・研究テーマを「地震被害に対する地域減災力を高めるための課題と方策について」と決定した上で、サブテーマが「防災拠点と防災訓練の実態と課題について」「防災教育の現状と課題について」となりました。

早速、地域防災拠点の現状と課題について消防局から説明を受けた後、多方面にわたり議論。現状の課題認識や検討の方向性、今後の横浜市防災計画「震災対策編」の抜本見直しにあたり、当局の説明では市民の皆様の役割が大変大きくなる内容。それはわからないでもありませんが、当局から市民への要求は大きくなるが、受ける市民の側のモチベーションを上げる、より主体性を強くして頂けるような取り組みが見当りません。

いざという時に市民の皆様の生命・財産を守るために、地域とのコミュニケーションを大事にしながら役割分担をしていくというより、上から与える感覚ではないかと感じます。環境は変化しています。今回の防災計画も大きな変化。当局にとっても、市民の皆様にとっても変化が求められます。いざという時に地域防災拠点を運営するのは地域の皆様。消防は災害の現場で活動します。日頃から地域の皆様が活動しやすくなることを心がける必要があるのではないかと思います。

横浜市内に地域防災拠点は453か所ありますが、人口、年齢構成、地形等々は各地各様。取り組みに対する拠点ごとの温度差もあります。「市民の声を聞いている」とは先日の私の一般質問に対する市長の答弁であり、昨日の当局答弁。しかし、市内18区に各区数人ずつに意見を聞くことが市民の声を聞いたことになるのかどうか。アンケートをとったとのことですが、実際地域防災拠点を運営している複数の拠点の方々からは「現場の声を伝える場所がない」「要らないものが年度末に来た。予算があるなら何が必要か現場に聞いて欲しい」などの声が寄せられています。「市民の声を聞いている」とは実際のところどうなのか?本来こうした不満も出てこないように思うのですが、どうも噛み合わないところがあります。

例をあげますと、先ほどのように拠点ごとの事情は異なるものの、各拠点に配備されている備蓄品は物も量も全拠点一律。毛布を増やしたいところがあれば、食料を増やしたいところも。これは先日の一般質問で指摘し見直すこととなりましたが、まだ見直すべきことはあると思います。

また、4月から5月に行われた「横浜市防災計画修正の基本的な考え方について」とする市民意見の募集にあたっても、寄せられた意見数は207件。横浜市の人口は約370万人。広報の問題もあるかと思いますが、これで市民の声を聞いたと言えるのかどうか。計画の修正は市民の生命と財産を守るための極めて重要な行動ではありますが、あまりに少ない数字。9月に行う第2回の意見募集では、私は少なくとも市内453か所全拠点の運営委員会に意見を伺うことが基本ではないかと主張しています。

多くの課題に通じることですが、同じ基礎自治体である市や町で行われているきめ細かな対応が大都市ではできないことがあります。その理由は、対象の数が多く多様で大都市では面倒見きれないとされることがありますが、それは理由にならないと思います。周辺自治体の模範となるような、市民の皆様にとって安全安心だな、住みたい街として誇れる基礎自治体であること。そして、住民自治の進む街であることが特別自治市を目指す本市の使命ではないかと思います。

防災減災対策において消防は要。的確なリードが必要であり、自らの変化があってはじめて市民の皆様の変化につながるものと考えます。防災計画の見直しなど新たな取り組みの中で、これまでのような「与える」スタンスで進めていくのか、それとも対話の中で各地がよりモチベーションが上がるような、より主体性をもっていけるような対応をしていくのか。今後の減災対策の成否を決める根本的で大変重要な視点ではないかと思います。

基礎自治体の役目は市民の皆様の身近なところで市民生活を守る最終ライン。現場の声、地域の声を伺っていくことが市民を守る第一の取り組みと考えます。

市民後見制度の検討について 2067

未分類 / 2012年7月19日

昨日は政策・総務・財政委員会の市内視察で社会福祉法人横浜市社会福祉協議会及び財団法人横浜市学校給食会に伺いました。議会では市の外郭団体が資産運用においてリスクの高い債券を含む「仕組み債」の購入を問題視し議論が続いています。前者の法人もその対象のひとつ。そもそも市の福祉サービスの要である社会福祉協議会が資産運用をしなくてはならない理由がどこにあるのか?多額の税を投入して運営されている背景にあって、浄財を運用できるプロがいるのかどうか?等々、委員会として厳しい指摘と議論が続け改善を求めています

同協議会の事業内容について説明を受ける中、市から委託を受けている市民後見、後見的支援制度について私から伺いました。「市民後見人育成のための講習を行っているとのことだが、社協として人材の後見人としての認定をするのか。トラブルがあった場合の最終的な責任を社協が取るのか。裁判になった場合には委託している市が受けるのか」との質問。「社協で対処する」とのこと。これはこれで大事な答弁ですが、ハッキリしないところもあったため、田中忠昭委員長の要請で改めて整理、報告されることとなりました。

高齢社会における市民後見制度の充実は全国的にも大変重要な課題であり、強力に推進すべきものですが、弁護士から伺った話では後見人とサービスを受ける側との間のトラブルもあり、多くの案件を抱えた家庭裁判所が困った状況にあるとのこと。具体的ではありませんが、後見人の認定などを市や社協で行っていくことの検討、準備はしっかりと行っていかねばならないと思います。

先日、群馬県の先進的な市民後見人育成の取り組みを読売新聞が伝えていましたのでご紹介します。

「認知症の高齢者らに代わって財産管理などを行う成年後見制度で、親族や専門家以外の第三者を「市民後見人」として養成する動きが群馬県内で広がっている。

 身寄りのない高齢者が増える中、後見人の確保は自治体にとって全国的な課題となっており、玉村町は昨年度から養成事業を開始。同町が家庭裁判所に推薦した候補者が今年4月、市民後見人に選任された。高崎市も9月から、市民後見人養成に向けた研修を始める。

 成年後見制度では、親族や、弁護士などの専門家が後見人として活動するのが一般的だが、高齢化社会の中、今後、需要増大が見込まれ、専門家以外の第三者を市民後見人として確保することが求められている。

 高齢者の成年後見人となっている前橋市川曲町の社会福祉士白石俊一さん(68)は、電気代や水道代、医療費など全ての支払いを代行。「本業がある中、面会や代行業務を行うことは、負担が大きい」と話す。

 現状を問題視する国は昨年6月、老人福祉法を改正。後見人の活動に必要な知識を持った一般市民の養成を自治体の努力義務とした。

 これを受け、玉村町は昨年10月から東大で開かれている養成講座の受講料全額補助を決定。現在、町内外の13人が受講しており、今後、家裁の審判を受けて選任されれば、市民後見人として活動を始める。

 市民後見人の候補者を身寄りのない高齢者にあっせんする仕組み作りも進む。2010年に設立されたNPO法人「成年後見センター群馬」(前橋市)には、個人で養成講座を受けるなどした市民後見人の希望者15人が会員として登録する。

 同センターと協力関係にある玉村町は、入院中の認知症の男性(75)の市民後見人として会員2人を家裁に推薦。2人は今年4月、選任された。

 このうちの一人、安中市原市のパート従業員上原文夫さん(57)は以前、信用組合に勤務していた経験から、財産管理の知識を社会貢献に生かそうと、同センターに登録した。上原さんは「財産を守る人助けができてうれしい」と話す。

 高崎市でも9月、外部の団体に委託し、市民を対象にした市民後見人の研修講座を始める予定だ。

 市によると、約25~35講座の開講を予定し、受講者は年金制度や介護保険制度のほか、家裁への報告書作成のための実務知識などを学ぶ。養成した市民後見人が活動を始めた後、弁護士などの専門家からアドバイスを受けられる仕組み作りも目指すという。

 市民後見人の養成講座を開いている東大政策ビジョン研究センターの宮内康二特任助教(41)は、「自治体主体で講座実施に踏み切った点で、群馬県は北関東の中で半歩先に進んだといえる。成年後見人を必要とする人は人口の3%程度と言われ、1人で10人を後見するとしても県内で約6000人が必要になる。各自治体は早急に後見人養成に着手する必要がある」と話す。

 <成年後見制度> 認知症の高齢者や知的障害者などで、財産管理や物の購入、契約などについて適切な判断をすることが難しい人のために、家庭裁判所が本人や親族などの申し立てを受けて成年後見人を選任する制度。成年後見人には本人の代わりに資産管理や、契約を取り消す権利などが与えられる。」

地元青葉区にも、横浜市内にも多くの方が市民後見人制度の推進に取り組まれています。これまで何度となくお声を頂いてきました。私は私の現場で全力。安心の仕組みづくりに尽力して参ります。

社会保障と税の一体改革 森田実氏の期待について 2066

未分類 / 2012年7月18日

関東地方の梅雨明け報道。真夏の日差しとなりました。夏バテしないようにと思いますが、うなぎの高さに驚きます。

昨日、区内のある自動車関連会社にお邪魔した際、話題は景気と消費税に。「企業努力でできることは一生懸命やるけど、やはりきついよ」「我々中小企業のことも考えてしっかり頼むよ!」。いくつかの具体なご要望頂きましたが、いずれも結果をもって応える公明党への期待。こうした声を国につなげていきます。

TVタックルなどの番組に出演されている政治評論家・森田実氏が北海道での講演で我が党への期待を示されていました。要旨は次の通り。ご紹介します。

「作家の徳富蘆花は、「国家の実力は地方に存する」と言っているが、これは事実だ。地方が栄えて、初めて国が栄える。地方に実力が付いて、初めて国の実力が付く。

その面では、戦後の経済運営にはゆがみがあった。あまりに地方の力を大都会、特に東京中心の関東圏に集中させ過ぎた。それをやるにしても何倍にもゆっくりした速度で進むべきだった。

これを元に戻していくのは国の力でやるしかない。政治が全力で地方の力を盛り上げる必要性がある。そうしたことをやる責任が今の政治家にはある。

今の政治の局面はよくない状況にある。政治を行う者には、人々のため、公のため、人の幸せのために尽くすことが根本にないといけない。「自分さえ良ければ主義」は少なくとも政治は絶対にとってはいけない。

私が公明党に日本を担ってほしいと思うのは、人のために尽くすことを常に念願しているからだ。これが政治の精神でなければならない。日本の柱になってもらいたい。

(公明党の)地方議員の皆さんも人一倍、熱心に働いている。長期不況が続いているが、丸一日、その不満を聞いている議員もいるだろう。そういう人たちが、中央の公明党を支えている。

社会保障と税の一体改革に関連し、公明党が民主、自民との3党協議に加わった。デフレ不況を突破することが日本の最大の課題だ。公明党は、これができなければ増税は了承しないと主張し続けてきたが、正論だ。その結果、防災・減災のために重点投資すると法律に入った。

関連法案は衆院を通過したが、マスコミは「無駄なバラマキ」と批判した。なぜ子どもの命を守るための耐震工事に反対なのか。国民の命を守ることは国の義務であり、政治の責任だ。

今の日本の政治に欠けているものは、真面目、誠実、勤勉だ。私は政治家のウソを危惧している。民主党の公約違反を許したら、“天下御免のウソつき”がまかり通る。世界で日本人が信頼されているのは、誠実だからだ。誠実な公明党に期待している。」

さあ、今日も頑張ります!

たまプラーザの「次世代郊外まちづくり」とベトナムへの東急田園都市の輸出について 2065

未分類 / 2012年7月17日

横浜市と東急電鉄が6月に発表したプロジェクトが動き出しています。

横浜市が国の選定を受け推進している「環境未来都市」計画の主要プロジェクトとして実施する「次世代郊外まちづくり」について、その第1号のモデル地区をたまプラーザ駅北側地区(青葉区美しが丘1~3丁目 面積:約120ha)に決定。

モデル地区選定理由は下記の通り。

(1)たまプラーザ駅北側地区は、東急田園都市線沿線で初期に開発された地区の一つで、 開発以来約50年が経過し、住民の高齢化、建物等の老朽化が顕在化しつつある。

(2)戸建住宅街、大規模団地、企業社宅や商業施設等、多様な形態で「まち」が構成されている。

(3)住民発意の建築協定や地区計画の策定、また昨年10月に開設された「美しが丘ボランティアセンター」など、先進的なまちづくりに取り組んでいる基盤がある

まずは第1号ということで、今後広く展開していくものと思いますが、先日、7月14日には、「次世代郊外まちづくりキックオフフォーラム~【Re郊外】発想の転換と市民の行動で郊外は 魅力的に生まれ変わる!~」を開催。今後は地域の方々とのワークショップ等を開催し、来年3月を目途に「次世代郊外まちづくり構想」の策定が計画されています。

1軒の家も建てたら終わりではありません。時間ともにメンテナンスが必要。道路や橋、下水道など社会資本の老朽化対策も安全安心のまちづくりには必要不可欠。そのため我が党では「防災・減災ニューディル政策」を掲げて推進しています。たまプラーザでの次世代郊外まちづくりについても、いつまでも魅力的で住み続けたい街であり続けるために重要なプロジェクト。そこに今回のような地域の声を反映させていこうという試みは素晴らしいこと。田園都市線沿線が、青葉区が、そして横浜がまた魅力的になっていく一歩ではないかと思います。

今月の日経ヴェリタスに「日本の暮らし丸ごと輸出 ベトナムに東急田園都市」と題した特集が組まれていました。私は学生時代やサラリーマン時代に円高が始まった時期のマレーシアやシンガポール。アジア通貨危機を乗り越えた頃から中国の蘇州市に駐在していましたが、それぞれの地域で日本文化が勢いを持って取り入れられる時期に居合わせましたのでわかるような気がします。様々なご意見はありますが、やはり日本のまちづくりは羨望の対象になろうかと思います。

「生活水準の向上とともに成長してきた日本の内需企業。そのノウハウを海外に持ち込み、収益を得ようと、新興国に乗り出している。最終製品に加え、日本の生活様式や食文化を根付かせ、新たな需要をつくりだそうとしている。「ジャパンウエー(日本流)」の輸出に勝機を見いだす企業の取り組みを追った。

■「田園都市」にスーパーや百貨店も進出へ

多摩田園都市をアジアで再現する――。東京急行電鉄のこうした試みがベトナムで動き出す。

 ホーチミンから北へ約30キロ。ビンズン省の広大なゴム林跡地に職住商一体型の新都市の建設計画が進む。広さは約110ヘクタールと、東京西南部の丘陵に広がる多摩田園都市の30分の1ほどの大きさ。2020年ごろまでに高層マンションと戸建て計7500戸を分譲する。歩行者と車の通行を分離、植栽をふんだんに配置し、緑豊かな街にする計画だ。

 東急は資本金の65%、約200億円を出資し現地企業との合弁会社を設立。この合弁会社が実際の運営を担う。事業規模は1000億円に上る見通しだ。新たにできる都市には「TOKYU」の名をつけるという。

 11年のベトナムの1人当たり国内総生産(GDP)は1374ドルで、日本の45年前の水準。ちょうど東急が田園都市の開発を本格化し始めた時期と重なり合う。現地のニーズを見極めたうえで、食品スーパーや百貨店などの流通事業、バス事業でも進出を狙う。

街づくりのノウハウをパッケージにしてアジアに持ち込むという、かつてない事業に動く背景には深刻な内需低迷がある。私鉄では日本最大だが、子会社の売却もあり12年3月期の売上高は1兆942億円と、5年前に比べ約2割減った。「街まるごと輸出」をテコにして、現在は1%未満の海外売上高を拡大し、成長力の回復を狙う。

■日本流の消費生活を移植

 日本の総人口は伸び悩み、「高齢化で1人当たりの飲食量が減るなど消費の中身も劣化している」(日本政策投資銀行の鍋山徹チーフエコノミスト)。一方、総合研究開発機構の調査によると、日本を除くアジア10カ国・地域で世帯可処分所得が5000ドル以上の中間・高所得層は今後10年でほぼ倍増し、19億人を突破する見通し。ここに日本流の消費生活を根付かせることができれば、内需企業にとっては成長の起爆剤になる可能性がある。

 規模は小さいが「街」輸出には成功例がある。中国・北京から西へ約2500キロ離れた新疆ウイグル自治区のウルムチ市。その中心部で地下街を14年前から運営するのは中堅繊維商社の辰野(大阪市、非上場)だ。

 「会計時は立って対応する」「買い物をしない客も笑顔で送り出す」など、きめ細かい日本流の接客術を従業員に教え込んだ。現在の広さは開業当初の3倍強の1万2000平方メートル。資生堂など100以上のテナントが入居する。ウルムチ随一の婦人ファッション街だ。

 「資源が豊富で中央アジアとの交流も盛ん。発展が見込めると考えた」と辰野の幹部はいう。今年4月には、独フォルクスワーゲンが新工場建設を決めるなど外資の進出も進んでいる。

 高齢化の進んだ日本の経験を生かし、安心・安全な暮らしをアジアに売り込もうとしているのがセコムだ。中国では従来の警備事業に加え、上海・浦東地区に富裕層向けの高級有料老人ホームを開設。120室の9割以上は介護を必要としない人向けで、娯楽などきめ細かなサービスを提供する。インドでは約300床規模の病院経営に参画。人口が増えているインドは病床数が不足しており、「5~10年で2万床規模の病院チェーンを築きたい」(安田稔理事)という。

豊かな暮らしに欠かせない食文化の輸出でも日本企業の動きはより戦略的になっている。ハウス食品はカレーを食べる習慣がなかった中国で、五輪選手の養成機関に協賛し、選手の食堂にカレーを提供するなど知名度向上に力を入れてきた。今では都市部で徐々にカレー文化が浸透。壱番屋との合弁で「CoCo壱番屋」を展開し、人気を集めている。

 「学歴信仰の強いアジアでは教育にお金を掛ける傾向が強い」(三菱総合研究所の郡司倫久主任研究員)といい、今後は塾など教育システムの輸出も活発になりそうだ。高度な消費社会が台頭し始めたアジアで戦後築いた日本流の真価が問われようとしている。

幅広い分野で進むジャパンウエーの輸出。企業同士の連携や官民一体となった取り組みも広がっている。

 広さや入居店舗の多様性から日本一ともいわれる大阪の地下街。大阪市民の日々の暮らしに深く浸透しているこの地下街の運営ノウハウを、中国・北京市に売り込む交渉が進んでいる。主導するのは大阪商工会議所だ。

 北京市中心部は地上開発がすでに飽和状態に近い。地下空間を活用できれば、渋滞や天候を気にせず快適に買い物ができるようになり、都市の活性化につながる。大商の佐藤茂雄会頭は「関西のおもてなしの文化で、中国の発展に貢献したい」と意気込む。

 すでに佐藤会頭らは昨年から複数回、中国を訪問。中国側の担当者も大阪を視察に訪れている。商業施設が集積する北京市東城区の王府井地区が建設の有力候補地だ。計画が動き出せば「ホワイティうめだ」や「なんばウォーク」を運営する第三セクターの大阪地下街(大阪市)、佐藤会頭の出身母体で商業施設運営も手掛ける京阪電気鉄道、伊藤忠商事などが主体になり事業を進める見通しだ。

 地下街を丸ごと開発することに伴う恩恵は、こうした事業主体だけにとどまらない。技術的に難しいとされる地下の掘削工事のほか、下水の処理や空調工事など関連ビジネスの裾野は広い。大商が先頭にたって交渉に動くのも、大企業だけでなく中小企業への波及効果を期待しているからだ。

 新興国のインフラ整備では事前調査から資金調達、建設、運営まで手掛ける「パッケージ型」が主流となりつつある。みずほコーポレート銀行産業調査部の坂下欣吾参事役は「調査段階から関与できれば、発注側の意向をよく理解できメリットが大きい」と語る。日本企業は個々の製品や技術で優れていても、総合的な受注能力で後れをとるといわれるだけに、企業の連携による大阪の地下街輸出はパッケージ型の新しい形として注目されそうだ。

■インフラ輸出、アジアで火花

 豊かな生活に欠かせない水のビジネスを巡っては、地方自治体と企業との連携が課題になる。水源開発から給水、料金徴収まで一貫して手掛ける「水メジャー」が存在する海外と異なり、日本では上下水道の運営ノウハウを地方自治体がほぼ独占してきたからだ。

東京都や横浜市は、漏水率の低さや水質管理といった高い技術を武器に、民間企業と共同でハノイやジャカルタでの施設建設や、その後の運営受注を目指している。経済産業省によると、世界の水ビジネスの市場規模は2025年に86.5兆円に達する見通し。横浜市が全額出資する横浜ウォーターの吉野稔也マネジャーは「長年にわたり、安定した収益が見込める海外事業は官民双方にとって魅力が大きい」と語る。

 金融・証券インフラ輸出も本格化している。民主化の進展に伴い「東南アジア最後のフロンティア市場」として、注目を集めるミャンマー。東京証券取引所グループと大和総研は5月、ミャンマー中央銀行との間で証券取引所の設立支援に関する覚書を締結した。

 大和総研は経済制裁下で15年以上にわたり店頭株売買を担う合弁会社「ミャンマー証券取引センター」を運営してきた。東証は長年の信頼関係を活用して、取引所の制度やシステムの設計に関する助言のほか人材育成にも取り組み、15年までの証取開設を目指す。

 東南アジアの証券市場整備を巡っては、韓国証取がラオス、カンボジアを支援。いずれも韓国製のシステムを採用しており、ライバルとの競争も激しさを増している。

 みずほコーポレート銀の坂下参事役は「新興国市場では高品質・高技術でも価格が高ければ受け入れられない」と強調する。現地のニーズをくみ取るための戦略が欠かせない。

■「現地では独自の戦略が必要」

早稲田大学ビジネススクールの内田和成教授は、日本企業のグローバル化はモノの輸出から始まったが、品質、コスト、納期の正確さといった以前の強みは中国や韓国勢の台頭で色あせ、負け始めている。サービス、コンテンツ、ファッションなど内需型の産業に期待が向かうのは当然の流れだ。

 売って終わりの製品販売と異なり、(消費者に直接向き合う)サービス財は生産と消費が同時に起こる。現地でサービスを提供できる人材をどうやって確保し、育成していくのかが各企業の課題になる。

 文化的に近い東アジアではある程度うまくいっても、それ以外の地域でビジネスを拡大していくには、それぞれの企業が自分だけの「解」、つまり独自の戦略を持つ必要がある。

 ヤクルト本社(2267)は現地生産、現地販売で雇用を増やして地域に溶け込み、ブラジルや欧州でも乳酸菌飲料の販売網を築いた。公文教育研究会は日本で築いた自主学習のノウハウを現地にうまく適応させ、日本を含めた世界47カ国・地域で教室を展開する。こうした本当の意味でのグローバル化を実現している企業は一握りにとどまっている。

 心配しているのは、成熟市場に慣れきった日本の企業人が、成長市場での戦い方を誤ることだ。成長市場では、シェアはカネで買ってもいい。収益は後から付いてくるからだ。

 それなのに、市場規模の倍増を前提にした計画を現地が立てると、日本の本社がブレーキをかける。中国の自動車市場などで実際に起きたことだ。業態にもよるが、中途半端な投資では、シェアを落として負け犬になるだけだ。

■「群を抜く『おもてなし』 アイデアも豊富」

日本貿易振興機構サービス産業課長 北川浩伸氏は、内需型企業の海外進出は、1980年代後半、急激な円高への対応を迫られた製造業と似た段階にある。2000年代に入り、特に「BtoC」型企業の進出が盛んだ。流通、小売り、外食、教育産業の進出は一巡しつつあり、今後はIT(情報技術)、物流、建設、金融といった業種が増えていくだろう。

 日本は過去60年で急速に消費の高度化をなし遂げた世界でも類を見ない国だ。経営者は30年ほど前の自らの経験を振り返り、新興国でのビジネスに生かすことができる。金沢市のハチバンのように東京や大阪といった国内大都市圏での消耗戦を避け、直接海外に向かう動きにも注目している。

 日本のサービスを形容するキーワードとして、「おもてなし」という言葉が用いられる。海外から日本に来た人たちが感動するのは、日本の飲食や流通小売りの現場で働く人たちが、丁寧で心のこもったサービスを誰に対しても提供しているからだ。相応のサービスには相応の対価が必要な欧米との違いでもある。加えて、国内の激しい競争の末に身に付けた商品開発やサービスを工夫する際のアイデアの豊富さでも日本企業は群を抜いている。

 進出先で成功を収めている企業の共通点は3つある。1つは信頼できる現地のパートナーを確保していること。2つ目は経営者が現地に足を運び、市場を見て回っていること。3つめは進出地域を限定せず、違いをよく分析していることだ。同じ国でも消費の熟度は都市ごとに異なる。自社の商品やサービスが現地のニーズに合っているか。よく見極めなければならない。」

いかなる環境も変化しますし、企業においても個人においてもそれ対応し、より良くするためには更に先んじることが求められます。何をするのも基本は人間。こうした特集を読みますと、もちろん日本国内で活躍する方も大事ですが、自らの心の壁を超え、言葉にも挑戦し、世界に出て行くことができる人材の育成が益々重要になっていることを感じます。

みなとみらい 夏の新スポットについて 2064

未分類 / 2012年7月16日

天気はハッキリしませんが、夏祭りも始まり、今日は海の日、三連休の最終日。来週には子供たちは夏休みに。みなとみらいにできました新たなスポットをご紹介。

まず、神奈川新聞から。7月10日、世界最大級の室内ジオラマを擁する「原鉄道模型博物館」がみなとみらい21地区の横浜三井ビルディング2階に開館。

HP http://www.hara-mrm.com/

 本物の約32分の1の「1番ゲージ」模型が走る、1周約70メートル、6車線、総延長450メートルの室内ジオラマ。幼稚園の息子を抱いた市内在住の自営業男性は「精巧な車両と迫力ある走りに感激した」と興奮の面持ち。

  同博物館は、約6千両のコレクションからえりすぐった千両を展示。最寄り駅は横浜駅か、みなとみらい線新高島駅。開館時間は午前11時~午後6時。休館日は毎週火曜日(7月17日は営業)と年末年始。入館料は大人千円、中・高校生700円、子ども(4歳以上)500円。

朝日新聞に掲載されていたのが三菱みなとみらい技術館。7月14日(土)から「夏休み子こども科学フェスティバル」を開催。http://www.mhi.co.jp/museum/

9月2日(日)までの期間中を通して、スタンプラリーや上映会など盛りだくさんに実施。そのうち、8月19日(日)まで特別企画「『横浜みなと博物館・帆船日本丸』×『三菱みなとみらい技術館』夏休みキャンペーン 2つの博物館をめぐって深海博士になろう!」を、昨年に引き続き開催。独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の協力のもと、同じ横浜・みなとみらい地区にある横浜みなと博物館と連携。両館の展示を通じて、子どもはもちろん大人も、深海や深海生物について、楽しくわかりやすく学ぶことができるとのことです。

横浜みなと博物館との連携キャンペーンで当技術館は、海洋ゾーン「みなとみらい海洋研究所」で、日本が誇る有人潜水調査船「しんかい6500」や、深海巡航探査機「うらしま」、地球深部探査船「ちきゅう」の技術について展示。それぞれがもたらした貴重なデータや標本について紹介。

また、同キャンペーンに連動した各種イベントも開催する。8月4日(土)の「海洋教室」では、しんかい6500の元パイロットを講師に迎え、深海調査についてわかりやすく解説、水圧実験なども実施。その他、深海ペーパークラフト教室も。

一方の横浜みなと博物館( http://www.nippon-maru.or.jp )では、帆船日本丸の公開のほか、「のぞいてみよう深海の不思議展2」と題して、深海の映像や生物の紹介。

夏休みの終わりまで開催する子ども科学フェスティバルは、子どもたちに科学技術の楽しさ、ものづくりの面白さを体感してもらおうという夏休み恒例の企画。例年大盛況の科学映像作品の上映会や、館内の見所クイズに挑戦できるテクノくんのワークブックの提供、三菱重工が開発したコミュニケーションロボットwakamaruとのお散歩タイムなどを。

三菱みなとみらい技術館は1994年6月、地域の人々との交流と科学技術への関心を高めることを目的に、横浜に開設。三菱重工が手掛ける最先端の科学技術・製品を「環境・エネルギー」「航空宇宙」「海洋」「交通・輸送」「くらしの発見」と「技術探検」の6つの展示ゾーンに分け、実機・模型、パネルなどでわかりやすく紹介しているそうです。

開館時間: 10:00AMから5:00PM(ただし入館は4:30PMまで)

休館日: 月曜日(祝日の場合は翌日)

特定休館日: 9月3日(月)から9月7日(金)

入館料: 大人300円、中・高校生200円、小学生100円、 団体(10人以上)は各100円引き

最後に、みなとみらいではなく日本大通りになりますが、共同通信によりますと、人類初の有人宇宙飛行からはやぶさの帰還まで、世界の宇宙開発史を報道でたどる企画展「未知への挑戦を見つめて~宇宙開発と新聞報道」が、横浜市中区の日本新聞博物館で始まりました。 HP http://newspark.jp/newspark/

1961年に旧ソ連のガガーリンが行った有人宇宙飛行、日本人宇宙飛行士の活躍、2010年のはやぶさ帰還など宇宙開発の歴史を当時の号外や報道写真で振り返るもの。ロケットの模型や宇宙服、宇宙食も展示。東京都の会社員は「宇宙開発が政治的対立を背景に進められたことが実感できて興味深い」。

今年ははやぶさが探査した小惑星「イトカワ」の名前の由来ともなった、日本のロケット開発の父、故糸川英夫博士の生誕100年。

 入場料は一般・大学生500円、高校生300円、中学生以下は無料。9月23日まで

この夏、できれば私も子供を連れて行きたいと思います。

ニューヨークの「食の砂漠」 について 2063

未分類 / 2012年7月15日

昨日、市内のあるハンバーガーショップで昼食。早いだろうと思ったら、ファストフードとはいえ人気店。多くのご家族が来店する中、そこそこの待ち時間。「近くのラーメン屋にしとけばよかった」。あとの祭りです。

ウォール・ストリート・ジャーナルに「津山恵子のアメリカ最新事情」というコーナーがあります。氏は共同通信社の記者として活躍され、積極的に執筆活動を行っている方。先日の同コーナーには「ニューヨークのど真ん中に「食の砂漠」 格差はここにも」とのテーマで興味深い洞察をされていました。

 「公立小学校で代替教員をする友人が、「イースト・ビレッジは『フード・デザート(食の砂漠)』なのよ。子どもが可哀想だわ」と話していたので驚いた。

 彼女が、夏休み前に派遣された学校がイースト・ビレッジ、つまり、ニューヨーク・マンハッタン島の、ウォール街や市役所がある金融・行政区から、わずか2キロほど北東に位置する地区にあった。その地区は、大きなスーパーマーケットがなく、点在する小さな食料品店や雑貨屋では生鮮食品が売られていない「食の砂漠」なのだという。

 イースト・ビレッジの中心は、日本の居酒屋やラーメン屋が立ち並ぶ「リトル・トーキョー」と呼ばれる通りもあり、若者やアーティストが集まる。リトル・トーキョーから東に歩くと、お洒落なレストランやブティックが急速に増えている地域。まさか、そこがフード・デザートだとは思わなかった。しかし、確かに、住民は移民が多く、さらに東に行くと、ヒスパニックやアフリカ系米国人の姿や、低所得層向けの集合住宅が目立つ。

 マンハッタンの中でフード・デザートとしていつも問題になるのは、アフリカ系米国人の住民の割合が9割を超えるハーレムだけかと思っていた。ハーレムは、マンハッタンの北部に位置し、ウォール街や行政区からは15キロ離れているため、マンハッタンの中心部とはいえない地域だ。

 フード・デザートが問題なのは、新鮮で栄養のある食品が手軽に得られないため、安いファストフードや、缶詰に入った調理済みの食品への依存度が高くなる。その分、体重過多の子どもや住民が増えて、健康を害する確率も高まるという悪循環だ。

 「迎えに来る母親や兄弟が巨大なのよ。もちろん、太り気味の子どもも目立つし」――。教員の知人もイースト・ビレッジの小学校の様子をこう話す。

 これで思い出した光景がある。

 ニューヨーク市の中で最も犯罪の発生率が高く、貧困層が住むブラウンズビルという地域だ。ウォール街からは南東に8キロほど離れたところにある。そこで、「唯一まともな食品が買える」と教えられて行ったスーパーマーケットにあったのは、壁沿いに天井までうず高く積まれた缶詰の山。スーパーでこんな光景は見たこともなかった。さらに驚いたのは、マンハッタンのスーパーで見慣れたキャンベルやデルモンテといった大手食品ブランドの缶詰はなく、どれも聞いたことも見たこともないラベルがずらりと並んでいたことだ。

 「唯一のスーパー」というだけあって、店内は広く、新鮮な野菜や果物も豊富に積まれていた。しかし、そこにいるのは従業員ばかりで、巨大な下半身とショッピングカートがひしめいているのは、缶詰の山の方だった。

 それは、生鮮食品があるスーパーマーケットがないことだけが、健康問題を引き起こしているのではないのを物語る。新鮮な食品を買いそろえて調理する方が、缶詰を買うよりもお金がかかる。つまり、失業率が高く、所得が低い住民が多いこともフード・デザート問題を引き起こす原因だ。

 ブラウンズビルは、人口が約12万人。そのうち7割がアフリカ系米国人で、2割がヒスパニックという人種構成だ。

 訪れたのは昼間だったが、集合住宅が建ち並び、ビルの角には犯罪防止のためにカメラが取り付けられている。学校や公共施設の入り口には金属探知機さえ置かれている。ニューヨーク市も環境改善に努めてきたものの、強盗、発砲などの凶悪犯罪が絶えない。また、通りの電線や金網にスポーツシューズがぶら下がっている。これはその通りでヘロインなど麻薬取引があることを示す。

 一方で、ニューヨークは「レストランのメッカ」だ。お金を出せばもちろんだが、それほど出さなくても、ありとあらゆる国の料理が楽しめる。競争が激しい分、腕試しに世界中の有名シェフが店を開く。

 また、自然派食品ストアとして急速に店舗を増やしているホール・フーズを訪れると、美しく並んだ生鮮食品に圧倒されるほどだ。ずらりと陳列された世界中のハムやチーズ売り場では、慎重に、端切れを試食してから買うグルメな客も多い。

 世界の美食、あるいは美食家が集まる街角からわずか数キロの地域がフード・デザートという現実には呆然とする。たとえ、フード・デザートに大型のスーパーマーケットが進出したところで、ブラウンズビルに見られるように砂漠が解消される見通しはないだろう。

 食の1つをとっても、米国はこれだけの格差を抱える「分断」の国家だ。」

規制緩和も社会構造の変化も大事ですし、法律を作り必要に応じて改正しながら法治国家として規律ある社会であることも重要です。只、一番大事なことは「何のために」それが行われるのか、ではないかと思います。豊かであることと、幸福はイコールではないことがあります。

世界から見れば、ひとつの民族で成り立っている日本、中間層が最も厚い日本、しがらみの多い日本、などとされてきましたが、グローバル社会の中で変えていくべきものと、変えてはならないものがあるように思います。税の使い道が見える、地域のことは地域で決める自治を基本にしながら、お互い様で協力しつつ、皆が笑顔の日々を目指していきたいです。

軽減税率の導入について 2062

未分類 / 2012年7月14日

昨日、地元での政治学習会でのこと。「軽減税率は絶対やってほしい!」あるご婦人から強いご要望を頂きました。消費税増税の議論の中で公明党が主張して盛り込まれた項目。肉や野菜など生活必需品への税負担を増やさないというもの。私が耳にする限りにおいては大多数の声です。

消費税は、日常生活で誰もが買わないといけない食料品や生活必需品などにも同様に課せられるため、所得に対する消費の割合が高い低所得者ほど、その負担は重くなる。これが消費税の「逆進性」と呼ばれる特徴。

公明党は、消費税を増税する際には、より重い負担を強いられる低所得者に対し、十分な軽減策を行わなければならないと主張しています。

我が党が、社会保障と税の一体改革をめぐる民主、自民との3党協議の中で、低所得者対策の具体化・拡充を強く主張したのは、この思いから。公明党の闘いによって、消費税の増税前には必ず低所得者対策が実現することになり、また、当初の政府案にはなかった食料品など一部の税率を低く設定する「軽減税率」の検討も盛り込まれました。政府は軽減税率の導入を見据え、具体的な検討を進めるべきと訴えています。

1960年代から、日本の消費税に当たる付加価値税を導入している欧州では、多くの国が軽減税率を導入。英国では標準税率20%に対し、食料品や医薬品などの税率はゼロ。標準税率が19%のドイツも食料品は7%。20%前後の高い標準税率が国民に受け入れられるのは、軽減税率を導入していることが大きいと見られています。

確かに、軽減税率は「対象品目の線引きが難しい」など、導入に向けた課題は少なくないですが、それでも多くの国が採用している現実を踏まえれば、日本も前向きに検討する価値はあります。

我が党が主張する本格的な対策として、もう一つ検討されるのは、給付と減税を組み合わせた「給付つき税額控除」。これは負担した消費税の一部を、所得税を納めている人には減税で、所得税のかからない人には現金給付で還元するもので、海外ではカナダなどで導入されているとのこと。

給付つき税額控除は、国民一人一人の所得が正確に把握できれば、対象者を限定して効果的に対策を講じることができるが、その所得の把握が難しい。また、年末調整などにあわせて減税や給付が行われるため、恩恵を受けるまでに一定の時間がかかるとの問題も。

どちらも一長一短があります。

一方、日経コラム「大機小機」に「軽減税率導入における論点」と題して寄稿されていました。筆者は(隅田川)さんという方なのですが、いつも鋭い指摘をされます。

 「消費税率の引き上げが実現に向かう中で、逆進性への対応がしばしば議論になる。

 消費税は必需品にもかかる。必需品への支出が所得に占める比率は、低所得層ほど高い。すると、消費税負担額が所得に占める比率もまた低所得者の方が高くなってしまう。これが逆進性の議論である。

 この逆進性対策としてしばしば登場するのが、必需財の代表である食料品に軽減税率を適用することである。

 この軽減税率を支持する人は多い。各種世論調査でも8割近い人が「消費税率を引き上げるのであれば、食料品に軽減税率を適用すべきだ」という考えに賛成している。

 ただし、「弱者」の保護を考える上では、以下の点も考慮に入れる必要があるのではないか。

 2011年の家計調査で所得階層別の消費支出を見ると、最も所得の低い第1階級は、可処分所得が月平均20万3190円で食料支出は4万703円である。この金額は所得が増えるにつれて増え、最も所得の高い第5階級は、可処分所得が62万204円で食料支出は8万4219円である。

 この消費税率が10%になると、第1階級が払う消費税額は4070円で可処分所得の2.0%、第5階は8422円で所得比は1.4%となる。確かに、逆進性がある。

 この逆進性を回避するため食料品の税率を5%に据え置いたとしよう。このとき、税負担が軽くなるぶん補助金を受け取ると考えると、第1階級は2035円、第5階級は4211円を受け取ることになる。つまり、高所得層の方が得をするのだ。絶対額で見れば高所得層の方が食料支出金額が多いのだから、軽減税率の適用によって得をする金額も高所得層の方が多くなるのである。

 軽減税率を適用すれば低所得層(弱者)が助かることは間違いない。国民の目から見て分かりやすいとの意見もある。ただし、それ以上に高所得層(強者)に恩恵を与えてしまうという点を考えると、弱者対策という意味では、必ずしも効率的とはいえない側面もあるのではないか。

 世論調査でこの政策を支持する人が多いのは「食料品が値上がりしないで助かる」との考えが大きいためだろう。世論が強く支持する政策でも、実施に際しては利害得失の議論を十分に深める必要がある。」

どのような結論に至っても批判はあるものですが、11日から、社会保障と税の一体改革関連法案に対する参院での審議が始まりました。公明党は、抽象的な議論に終始することなく、具体化・前進させる論戦を展開してまいります。

横浜市民意識調査の結果速報について 2061

未分類 / 2012年7月13日

昨日、横浜市は平成24 年度横浜市民意識調査の結果速報を発表しました。

調査時期は平成24 年5月11 日~6月4日。横浜市全域、外国人を含む市内に居住する20歳以上の方3,000 人を無作為抽出して郵送・訪問回収を実施。2,314 票(回収率77.1%)をもとにまとめたもの。370万人という人口から見れば少ないようにも感じますが、傾向を見ることはできますし、要因はわかりませんが平成23 年度の回収率72.1%からは大幅増加。今後詳細な集計や分析を行い、平成25 年3月に報告書を公表する予定とのこと。

地域で必要となってくる手助けやサービスでは、1位は「介護や看病」。次いで「買い物の手伝い・配達」、「子どもや高齢者などの見守り」。

「心配ごと」の質問では、昨年と順位は変わらず、1位が「自分の病気や老後のこと」、2位が「家族の健康や生活上の問題」、3位が「景気や生活費のこと」。特徴として、「事故や災害のこと」が4.7ポイント増加。「心配ごとや困っていることはない」は、3年連続の過去最低になったことを指摘しています。

「市政への満足度と要望」の質問では、満足は「バス・地下鉄などの便」が1位。2位は「ごみの分別収集、リサイクル」、3位は「最寄り駅周辺の整備」。要望は1位が「地震などの災害対策」、2位が「病院や救急医療など地域医療」、3位は「防犯対策」。特徴的なのは「通勤・通学・買い物道路や歩道の整備」が昨年の7位から4位に上昇したこと。

その他、隣近所とのつき合い方、自由に過ごせる時間、地域で必要となるサービス等々につき質問。

回答の分析はこれからとのことですが、社会全体の高齢化によるニーズの変化が毎年のように見て取れます。先を見越して、何が必要なのか。何ができて、何ができないのか。地域と行政の協力により、どのような工夫でどこまでできるのか。行政主導から地域との対話による改善へ。横浜には18の行政区がありますが住民ニーズは各地各様。地域で必要としていることは地域住民の方が一番わかっています。今回の速報を見ましても、住民自治(横浜市では地域自治と言います)の重要性が益々高まっていると感じます。

新党 スッキリ政治と合意形成の政治について 2060

未分類 / 2012年7月12日

昨日午後、地元の理髪店へ。話題は新党。「こうなっちゃたら、もう誰にも相手にされないんじゃないの」。世間でよく耳にする言葉。世間の常識が今の永田町に通用するのかどうかわかりませんが、ご主人の言葉に違和感はありませんでした。そうこうしているうちに寝てましたが、、、。

元民主党代表の小沢一郎議員を中心とした新党が結成されました。やりたいことは政権交代を実現した民主党のマニフェストに集約されていると思いますが、これからどうするのか、昔ほどではないようですが注目されています。

戦後、50以上の新党が結成されてきたとか。政策や主張の合う人々が集まって党をつくるとか、今いるところでは思い通りにならないから新党を作るということもあるかと思いますが、世の中には思い通りにならないことが多く、特に政治の世界ほどスッキリしないものはありません。なぜなら、これだけ成熟した民主主義社会にあっては、お金持ちから苦しい人、健康な人からお体の大変な人。若い人からお年寄り、既得権者とそうでない人等々、夫々が其々の立場で考え方を持ち、異なる主張をもつ中で、皆がスッキリする結論ということは殆どないのではないかと思います。そもそもスッキリすることが政治の目的ではありません。

よって異なる主張で作られ夫々に支持を受けて成り立ってきた政党が、「合意形成」の努力をして前に進める場が政治であって、言いたいことを言っているだけでは何も変わりません。最悪は絵に描いた餅のようなビジョンと適当なプロセスを示す「総論の政治」。テレビ見ていると総論が多いので一部評論家などの声の達成でスッキリできるように思うのですが、実は各論に入ると国民各人の利害が交錯してそうはならないのも現実かと思います。テレビでは各論を抜きにして、現実の政治では実現困難な総論を語ることで怒りを増幅させるだけのワイドショーは罪深いなと思うことがよくあります。やはり視聴率なんだな、と思わずにいられないことがあります。いずれにしましても、時に大きな決断も必要ですし、そのためにも着実な合意形成を進め、政治を不毛な場にしてはならないと思います。

昨日の報道を見ながら、4月に読んだ日経コラム「大機小機」「小沢元代表に改めて問う」が頭に浮かびました。

 「野田佳彦首相が消費税増税に重大決意で臨んでいる。法案決定にあたり、抵抗する小沢一郎元代表グループを押し切った。これに対し小沢系議員は政務官や党役職を退き採決では反対する構えを見せている。火種はくすぶったままだ。

 では小沢元代表の消費税増税に対する考えとはいったい何なのか。ここ数年の元代表の発言を拾ってみる。

 「政権を取ればカネはなんぼでもある」(2008年6月)

 「予算を全面的に組み替え、埋蔵金も活用する。12年度には20兆5000億円の新財源を生み出せる」(08年10月)

 「地方が自由に使えるカネなら今の補助金の7割で今以上の良い行政ができると首長は言っている」(10年9月)

 「消費税の前にやるべきことがある。大改革なくして増税なしだ」(12年3月)

 元代表はここ数年一貫して消費税増税を封印してきた。党全体も大した吟味もせず同調した。次の鳩山由紀夫代表は予算の全面組み替え、埋蔵金の活用などで12年度には16.8兆円捻出するとマニフェストで言い切った。菅直人氏も代表代行時代「政権を取ったら国の形を変える革命政権になる。3年ぐらいは埋蔵金を使ってよい」と叫んだ。

 既に政権交代から2年半以上経過した。七転八倒してひねり出せた財源は桁が違った。だれもが目を付けたのが埋蔵金。つまり特別会計の積立金など流用可能部分だが、今や米びつの底が見えかけている。当初、喝采を浴びた事業仕分けもいつの間にか姿を消した。地方向け補助金の一括交付金化も新規財源には全くつながっていない。

 むろん権限維持を本能とする官僚の抵抗があった。だが野田首相も岡田克也副総理も「財源についての見通しがやや甘かった」と反省する。なんと言葉が軽いとあきれるが、真摯な態度ともいえる。

 では言葉の重さを大事にするという小沢元代表にどんな手があるのか。

 野田首相は法案成立に向け、自民党に盛んに秋波を送る。焦点は自民党の対応に移りつつあるようにも見える。だが近く出る小沢元代表の政治資金規正法違反をめぐる判決は無罪になるという観測もある。次の選挙の台風の目となる大阪維新の会率いる橋下徹氏は小沢元代表の考えに理解を示す。

 総論や抽象論ではない小沢元代表の責任ある財源論を改めて聞きたい。 」

財源については、新党結成にあたり早い段階で示されるべきではないかと思います。また、

今から2年前、確認しますと2010年6月19日の「大機小機」には「さらば小沢ポピュリズム」という印象的な指摘もありました。

「鳩山由紀夫前首相の言葉は言い回しこそ丁寧だが、具体性に欠け宙を漂うことが多かった。辞意表明のスピーチだけは別で、言葉に力があり政治の局面を大きく変えた。

「小沢幹事長にも政治資金規正法の論議があったことも皆様方周知のことでございます……『私も引きます。しかし幹事長も恐縮ですが幹事長の職を引いていただきたい。そのことによって新しい民主党、よりクリーンな民主党を作り上げることができる』と申し上げました」

 公の場で自身とともに、小沢氏を、「クリーンでない」側に仕分けし、いわば大きなバツ印をつけた。おかげで、菅直人新政権は内閣や党役員人事で「脱小沢」を鮮明にでき支持率がV字回復した。

 “小鳩辞任”は「政治とカネ」批判を和らげただけではない。政策面で「小沢ポピュリズム」とも呼ぶべきバラマキ路線に決別できたことも大きい。

 かつての民主党の公約は年金抜本改革の財源に消費税の引き上げを明記していた。

 ところが小沢代表時代に、「増税」が消える一方、子ども手当や、農家の戸別所得補償、高速道路の無料化など、兆円単位の人気取り公約が並ぶようになる。財源は、行政改革による歳出削減で、と言うにとどまった。

 鳩山氏の浅慮は、小沢氏が昨年5月「西松建設疑惑」で代表を退いた際、後継代表の座とともに、ポピュリズム路線も受け継ぎ「4年間は据え置く」と消費増税を封印し総選挙に臨んだことだろう。

 現実に政権につくと、事業仕分けでがんばっても歳出削減は1兆円にもならず、マニフェストの一部実現で、2010年度予算は当初予算として初めて借金(国債)が税収を上回る悲惨な姿になった。

 「普天間」の食言はなくても、小沢ポピュリズムの呪縛(じゅばく)を解けない鳩山政権は、遠からず財源問題で立ち往生したはずだ。

 民主党の参院選マニフェストは、財政再建を前面に出し消費税増税の方向を打ち出すなど様変わりした。ただ「超党派で協議を」という呼びかけに野党は乗ってこないだろう。小沢ポピュリズムの清算が十分でないからだ。

 子ども手当の「満額」をあきらめる程度では甘い。効果に疑問があるのに十分な議論もなく始めた同手当、高速無料化、戸別補償などは白紙に戻すほどの覚悟がいる。参院選後の宿題だ。 」

その昔、私も小沢氏の著書「日本改造計画」を読んだひとりですが、ハギレのいい内容で人気を集めました。しかし、氏のこれまでの言動を見ますと、右へ左へ、税金も上げたいのか下げたいのか、一体何がしたいのかよくわかりません。消費税関連法案については、民主・自民だけで可決することが確実な中、国民目線の政策を折込実現のために、野党である公明党までがそれを決断しているのに、「国民の生活が第一」と言ってきた小沢氏ら中枢にいる彼らが、反対だけで、国民の生活を守るための政策議論もなし。「白か黒か」を求め、党内で合意形成を行なったり、党内調整をすることなく出て行くとうことは理解されにくいと思います。本当に「国民の生活が第一」なのか。これまでの過程を見れば明らかではないかと思います。

プロセスのないビジョンを示しながら派手なパフォーマンスや角度のついた言動で衆目を集める手法を取る政治は多々いますが、氏のポピュリズムは相当なものかと思います。