終日、地元の市民相談への対処で時間を費やしました。
私は学生時代に東南アジアの勉強をしていました。インドネシアが好きで、19歳の時にアルバイトで貯めた資金で初めて行った国が同国。ジャカルタにインドネシア人の友人がおり、約1か月ですが現地滞在したことは今も良き経験となっています。
その時にいくつかの学生グループと懇談する機会がありました。もう25年前の話になりますが、「日本の資本がインドネシア経済を蝕んでいる」「搾取されている」という話が結論となっていたのを思い出します。スハルト大統領時代でしたが、長年にわたり日本からのODAがひも付きで、地元に利益が回らない、一部支配層に循環していくといったことが問題視されていました。支援というのも手を差し伸べる側の都合以上に、支援される側の立場にも配慮した在り様というものが求められる、ということを学びました。
適正な言葉ではありませんが、わかりやすく申しますと、「金が欲しいならくれてやるが、俺にも儲けさせろよ」。日本の支援とは実は「支援」とはほど遠い、我田引水そのものだったのではないかと思います。一部の者に富や権限が集中し、社会全体の公益というものが損なわれるからです。これは支援する側、される側の双方に言えることです。
先日、日経新聞によりますと、オリックスや横浜市の水道事業会社などでつくる企業連合はインドネシアで下水道インフラ整備に乗り出すとのこと。所謂「水ビジネス」といわれるものですが、公共が民間競争に入るということ。その原資は公共性の高い水道料金や税となります。
2016年にも稼働する大規模な下水処理場の総合計画立案の受託が決定。施設工事や運営管理まで手がける計画。実現すれば総事業費は1000億円規模と日本勢による海外での下水道の整備事業としては最大規模。今後、官民連携の水道インフラ輸出が加速しそうだとしています。
企業連合にはオリックス、横浜市が100%出資する水道事業会社、横浜ウォーター(横浜市)、水道コンサルの日水コン(東京・新宿)、水処理施設運営の日本ヘルス工業(同・新宿)など7社が参加。
対象となる事業はジャカルタで計画されている生活排水・汚泥処理施設や管路整備など。このほど国際協力機構(JICA)の国際協力事業の枠組みで、建設・資金計画を立案する事業体に内定。これを受け企業連合は建設工事や20~25年程度の運営管理の受託につなげることを目指しています。人口960万人のジャカルタの面積の2~3割をカバーする大型インフラとなるとのこと。
成功を願うものですが、一方で公共の失敗という言葉あります。民間と組むということに問題があるとは思いませんが、それは収益事業だということ。Y150は民間と組みましたが後始末が大変なになっています。
建設は12年中にも始まり工事費用だけで約500億円となる見通し。現地政府と投資を分担する方式を採用。企業連合は今後、ファンドや特別目的会社(SPC)などを設立し事業化に備えるとしています。
施設の運営管理には横浜ウォーターの出資母体である横浜市水道局も協力する見通し。オリックスがプロジェクトファイナンスを担当するなど、官民が強みを持ち寄り役割を分担するとのこと。
インドネシアでは人口増加や都市化の進展で上下水道インフラの整備が急務になっており、現地政府は14年までにジャカルタを含む主要都市の下水道普及率を現状の約2%から20%に引き上げる計画を打ち出しています。
収益事業はその成否が数字で認識できますし、責任の所在も明確になります。Y150の二の舞はあってはなりません。しかし、こうしたところに投資できるというのは相当潤沢な余剰資金がなくては打てません。
そもそもこの資金は横浜市民の水道料金などから作られたもの。因みに横浜市の上下水道料金は県内で一番番高い状況。市民の皆さんのお声を頂きながら、具体的な目的、目標とともに、責任の所在などの説明を受けた上でどうするかを考えていきたいところです。