非常事態。一致団結して対処しなくてはなりません。人心を糾合するしっかりしたリーダーシップ。何としても守る、救い出すとの使命感、全責任を負うんだとの行動が必要です。
今、信憑性の高い「情報」が求められているわけですが、右へ左へのマスコミ情報の氾濫と、現場の状況を正しく反映しているのかどうかが不透明な政府情報が不安を煽っている感があります。またそれ以上に、政府「情報」への信頼が揺らいでいることが最大の問題ではないかと思います。
昨日、阪神淡路大震災を経験された神戸の知人から電話が。「阪神淡路の時と比べても政府の対応は遅すぎる。情報公開のあり方も不信感を煽っている。言葉ばかりが躍っている感じ。」この言葉が象徴しています。
福島の被災地にいる私の先輩が携帯メールをくれました。今、現場対応で陣頭指揮をとっている方です。
「福島県浜通り、なかんずくいわき市民はいい知れぬ恐怖の中で生活しています。ガソリンは尽き、緊急事態になっても逃げられない。今日、40才未満の全市民にヨウ素が配布され、余計に恐怖をかきたてています。米軍は80キロ圏外退避を自国民に呼び掛ける中で政府の方針は変わらず。危機管理は最悪を想定して対処しなければならないのに楽観的観測で動いているようにしか見えません。 行ちゃん、私も怖いです。精神的につらい中で救援活動をしています。原発の事故は余計な、本当に余計な災難です。全日本が総力を挙げて一刻も早く対処しなければならない問題です。どうかどうかお力を貸してください。よろしくお願いします。」
今、勝手な動きとならないよう行政等と連携して動いていますが、何としても現地を支えていかねばなりません。
しかし、読売新聞が「菅政権が東日本巨大地震と津波、原子力発電所の事故、被災者支援など「危機の連鎖」に対応し切れていない」と報じていました。一致団結するときといっても、間違った方向であったり、遅い決断、不正確な情報であっては大変困難。まじめにひとつの目標に向かって走る時です。
「自らが直接、課題に取り組もうとする菅首相の下で役割分担は進まず、記者会見を繰り返す枝野官房長官も原発事故のデータなどの説明に追われ、被災者や国際社会の信頼を得られずにいる。態勢の抜本的な立て直しが求められている。
18日夜、防災服にスニーカー姿で首相官邸での記者会見に臨んだ首相は、「日本を改めて作るんだという覚悟で、一緒に立ち向かっていこう」と時おり目を潤ませながら、復旧・復興の決意を語った。
首相は11日の地震発生以降、5回にわたって「国民向けメッセージ」を発表した。この日の記者会見を含めて2回はごく短時間、質問を受けたが、基本は一方的な発信だ。
計画停電の実施や原発事故に伴う避難地域の拡大など実務的な情報とともに、「決死の覚悟」「命がけで取り組む」という言葉が飛び交う。首相に近い関係者は「国民を励ましたいという気持ちが強い」と説明するが、18日の記者会見でも原発事故の収拾時期について「そう遠くない時期」とあいまいに語るなど、国民の不安の払拭につながる場とは言い難い。
政府内には「政治主導はいいが、結局、官邸は何も決められない」と嘆く声も出ている。
18日朝。東京電力福島第一原子力発電所(福島県)への地上からの放水方法を巡り、首相は北沢防衛相、枝野氏らと首相官邸で協議した。しかし、1時間たっても結論が出ないことにしびれを切らした首相は、「そんなのはもういい」と議論を打ち切った。議論の中心は「高濃度の放射性物質が漏れ出す危険性の高い3号機だけに放水するか、1号機にも放水するか」だったが、結局は「現場に任せる」という当たり障りのない結論に落ち着いた。
この日の協議では、前夜から始まっていた放水の指揮を、自衛隊に一元化することもようやく確認した。最初は警視庁、次に自衛隊、さらに17日夜になって東京消防庁に出動を要請するという「逐次投入」の結果、一斉放水が物理的に難しい狭い現場に各部隊がひしめき合い、混乱する事態が懸念されたためだ。
理系の東京工業大出身で「原子力には強い(詳しい)」と自負する首相は、原発対応には人一倍やる気を示し、首相官邸での陣頭指揮にこだわっている。しかし、首相や周辺が、今回の原発事故の被害の大きさや事態の緊急度を見誤り、初動の遅れにつながった、と言う声は消えない。
米国が申し出た支援を断ったことが、その後の事態の深刻化を招いたという見方も出ている。
米国のクリントン国務長官は地震発生直後、ホワイトハウスでの会合で原発事故に触れ、「日本の技術水準は高いが冷却材が不足している」と懸念を示した。
民主党幹部は「米側はその後、原発事故への支援を申し出たが、日本側は辞退した」と語る。首相周辺は「支援の話は首相や官房長官には届いていない」としているが、「東電が原子炉を廃炉にせず、自力で収拾できると考えていたことが政府の判断に影響を与えた」(政府筋)という声もある。核分裂の反応を抑える効果から原子炉の冷却に使われるホウ酸と海水を注入すれば、運転再開は難しくなる。これを東電が嫌がり、政府も追認したというわけだ。
結局、12日になって福島第一原発1号機で水素爆発が発生し、東電は海水とホウ酸の注入に踏み切った。」
更に、産経新聞によりますと、福島県の佐藤雄平知事は18日、被災地視察に訪れた松本防災相と福島市で会談し、「原発事故を一刻も早く収束しないとだめだ」と述べ、東京電力福島第一原子力発電所の事故に関する早期の事態収拾を強く要求。
また、風評被害が広がっていることに関連し、「政府は正確な情報を迅速に発表してもらわないと困る」と苦言を呈したとのこと。
会談後、佐藤知事は報道陣に、「40年間、福島県は首都圏に電力を供給してきた。日本中がこの事故に真摯に向き合うことを国民の皆さんに申し上げたい」と感情をあらわに。原発を抱える地域の友人も多いので、佐藤知事のお気持ちがよくわかります。
一方、松本防災相は報道陣に「見たこと、被災者と話したことを心に刻み、これからの対応に努めたい」と語ったそうです。
できること、出来ないことがあるのは当然です。しかし、このような緊急事態に陥っても、一事が万事これまでと変わらず、言葉が躍るだけで具体性に乏しいのはなぜなのか?今こそ大事になっている政治主導はどこにいったのか?
この期に及んで自民党・谷垣総裁に入閣要請し、断られたとか。どうしてこういう発想にしかならないのか。
阪神淡路でもそうでしたが、現政府が一元的に動き、強力なリーダーシップをとって復興に当たるのは当たり前のことですし、既に各党一丸となって復興に進むことは今回も確認されています。こうした事態を政治的に利用しようとすること自体不謹慎です。
従来のように正論を発すればいいということではなくて、国民の生命、財産をまもる時です。