昨日「ここのところ政局の内容が多いね。違うのも混ぜながらやってよ。」とブログを見ていただいている男性の方からお声を頂きました。有難いことです。確かに最近は道路特定財源の暫定税率期限切れによる影響について書くことが多いです。異なる話題も書きたいところなのですが、「出来るだけ多岐に広げていきますが、状況が状況なので、少しの間ご了承ください」とお伝えしました。今日は具体的な内容に触れさせて頂きます。
私は神奈川県議会文教常任委員会の委員として、教育委員会と教育行政に関わる議論を続けてますが、見過ごすことの出来ない記事が目に飛び込んできました。高知県文化財団埋蔵文化財センターが雇用した道路整備に伴う遺跡調査の作業員21人が、暫定税率期限切れの影響で解雇されたとのこと。高知県では国の道路整備事情である発掘調査は、国交省が県教育委員会と委託契約を結び、県教育委員会が埋蔵文化財センターに再委託する仕組みなっているそうです。
先月3月1日に39人の方が埋蔵文化財センターに雇用されましたが、国交省から「暫定税率の失効で契約できなくなった」との連絡が県教育委員会に入り、今回の事態となったようです。(道路部分の遺跡測量や出土品整理のための21人が解雇の対象) 雇用者には解雇の30日前に予告する義務のあるため、今回の措置は労働基準法上の問題があり現在労働基準監督署が調査中。税率失効の問題もありますが、政治のツケをこうした形で、しかも違法と見られるやりかたで手を下すなどあってはなりません。また、行政にはもっと慎重な対応が必要です。可能な限り、一般生活に影響を出さない努力を払い、已む無き場合はしっかり説明責任を果たすことに尽力すべきです。
他方、ガソリンの暫定税率が3月末に期限切れとなったのに続き、4月30日には、車検の際に納める自動車重量税の暫定税率が期限切れを迎えます。道路特定財源などの租税特別措置法改正案が月末に衆院で再可決されないと、税率は5月から大幅に引き下げられることになります。税金が安いうちに車検を受けようとする人が運輸支局や民間車検場に殺到することが予想され、国、地方の財政への打撃も想定されます。
重量税は車の重さに応じて課税され、新車の場合は3年分、継続検査では2年分をまとめて支払います。本来の税率は、自家用車の場合に重さ0.5トン当たり年2500円ですが、暫定税率分の上乗せで現在は6300円となっています。しかし、暫定税率が失効すると、重さ1.5トンのクラスの自家用車なら、車検時の負担(2年分)が現状の3万7800円から1万5000円に下がります。
このため、車検切れを迎えた自動車ユーザーが、再び税率が引き上げられる前に車検を受けようと短期間に運輸支局などに駆け込む可能性があります。税率引き下げを期待した新車の買い控えが起きることも予想されます。真に車検が必要な人が、受けられないような事態にはならないようにしなくてはなりません。
税が安くなれば嬉しくて当然かと思いますが、その影響が見えない現状ではなんともいえません。只、具体的な数値として地方財政に与える影響は小さくありません。重量税の3分の1は市町村に回っており、今年度予算では、重量税による税収は国で約5541億円、地方で約3601億円が見込まれています。暫定税率が無くなると、国で約3097億円、地方で約2013億円がそれぞれ失われるとのことで、地方財政にとっては更なる影響が心配されます。新聞・テレビ等で報道されている内容はどこか遠くの話ではありません。全ての生活者に具体的な形で影響してきます。重量税が安くなれば、同額でないにせよ別のところから負担が飛び出してきます。
いづれにしましても今回の問題は、国民第一(人の幸せ)ではなく、政局第一の政治(自身の欲望充足)による影響です。目先はよさそうに見せて、ツケを回している現状です。こうした手段でしか政治が変えられないと考える人々に、生活の舵取りを任せることほど危険なことはないと考えます。
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