先日、社会保障費と財政や負担の関係についての試算が内閣府から出されました。しかし、少子高齢化社会に入り、負担が増えるといっても社会全体で一体どれだけ増えるのか?歳出削減はもとより、どのような国の形を目標にし、新たな税体系を構築していくのか、という議論のないまま不安だけが拡大しています。やっとでてきた具体的な数値を悲観するのは簡単ですが、いかに安心できる未来につなげて行くかが重要です。
「負担増で給付を維持するケース」では2025年度に国民負担が高成長の下で11兆円、低成長下で12兆円増える上、財政健全化のための利払い負担などを含めた、財政赤字の拡大を防ぐために、合計で14兆円から29兆円の増税が必要としています。消費税1%で約2.2兆から2.5兆円とされていますが、状況によって消費税10%以上増やす必要性があるということです。
「給付削減で負担を維持するケース」では2025年度に給付は現状より実質的に医療費が約2割、介護が約4割削減。給付削減による利用者の反発は必至。そう簡単なことではありません。
また、2011年度までの見通しの中で、様々な歳出削減を行うも、国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するためには6.6兆円の増税(消費税なら約3%)が必要と試算しています。
増税などあってもらいたくもないですが、こうしたデータが出てきますと、ようやく、これからの選挙は、税のあり方=国の形を選択する選挙になっていくのだなと感じます。高負担の大福祉国家か、低負担の小さな政府か。増税を抑えるために、経済成長率を高め、高齢者雇用の環境を整え、給付を抑える、という話もありますが、かなり楽観的に思います。
私個人的には、真にサポートの必要なところにのみセーフティネットを張り、選択と集中に徹し、可能な限りの痛みの少ない負担増と給付削減の組み合わせが、日本には合っているように考えます。そのためにも更に詳細な現場掌握が必要になります。
いづれにせよ税と社会保険料を合わせた国民負担を増やさなければ、現在の給付水準を維持することが出来ず、財政赤字拡大となるのは明らかです。一方で給付の大幅削減ができるのか。現実を真正面から受け止め、将来像をどう描くかが政治の役割であり、使命であると思います。
歳出削減は当然のことですが、選挙前の「税金を上げなくても、社会保障制度を維持できる」などとの無責任は困ります。よく防衛費をなくして社会保障費にあてればいい、という意見がありますが、一般会計で防衛予算は年間約5兆円。公共事業をやめれば、とありますが約7兆円。これに対し社会保障費の一般会計は約21兆円。どれだけ社会保障費が大きいか認識する必要があります。
悪しき過去を引き継ぎ、将来へツケをまわす。日本が益々ミスリードされていく。これはもうダメです。いづれにせよ税財政改革は待ったなしの状態だと思います。
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