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6月7日、平成22年 第2回定例会で今期4回目の一般質問に立ちました。

質問項目は、①危機管理の取り組みについて ②結核病対策について ③赤ちゃん・ふらっと事業の活用を ④松島4丁目にコミュニティ会館を ⑤ケア付き高齢者優良賃貸住宅の誘致を、など5点について区長に質問しました。

( 以下は質疑詳細 )
[ 平成22年 第2回 定例会-06月08日-03号 ]

◆十八番(中道貴 君) 通告に従い質問をいたします。多田区長の積極的な御答弁を望みます。
まず初めに、危機管理の取り組みについてお尋ねをいたします。
四月二十日、家畜伝染病口蹄疫の感染が宮崎県内で十年ぶりに確認。殺処分となる牛や豚は爆発的な数に上り、繁殖用の貴重な種牛四十九頭までもが処分される など甚大な被害が発生。県は非常事態宣言を発表しました。この問題で内閣の危機管理体制の甘さがあらわになり、政府の緩慢な対応に強い批判が噴出していま す。
四月末、牛の千倍ものウイルスを排出する豚にも感染が確認され、被害が爆発的に広がりました。殺処分の対象数は六月六日時点で二十七万二千 頭を超えました。陣頭指揮をとるべき農林水産大臣はラテンアメリカを外遊。政治主導と言いながら、閣僚らの主体性が発揮されず、口蹄疫被害の拡大を招いた ことは、危機管理上の初動体制が全く機能していないと言わざるを得ません。このように突発的な事態に際しては、初動体制のおくれが取り返しのつかない事態 に陥り、時には区民の生命や財産に甚大な被害を発生させてしまうことを改めて教訓にすべきだと思います。
先ごろ総務省消防庁より、地方自治体の 危機管理に関する二つの調査結果が発表されました。一つは、国民保護法に基づく避難実施要領のパターンの作成状況、二つには津波避難勧告等に係る発令基準 の策定状況などです。この調査の意義は、ふだんから危機管理の意識を維持するとともに、具体的な初動体制を準備することにあると思います。
国民 保護法第三十五条第一項に基づき作成された江戸川区国民保護計画によると、本計画が対象とする緊急事態とは、国土の占領やミサイル攻撃など四類型の武力攻 撃事態。次に、原子力発電所の破壊やダーティボムの爆発による放射性物質の拡散、サリンなど化学剤や生物剤の大量散布など、同じく四類型の緊急対処事態と それぞれ定められています。
その上で、本区の国民保護計画の避難実施要領のパターンの作成の項目の中には、「区は東京都による支援を受け、関係 機関と緊密な意見交換を行いつつ、消防のマニュアルを参考に、季節の別、昼間人口の存在、高齢者、障害者等の避難方法について配慮し、複数の実施要領のパ ターンをあらかじめ作成する」とあります。その上で、現実の緊急事態が発生した場合にはこのパターンを参考にして、本区自らが避難実施要領を的確かつ迅速 に策定することとなっています。
いざ有事の際、現実は想像を絶することが十分に予想されます。一分一秒を争う中、避難実施要領の策定や避難指示が間に合わず、刻一刻と変化する事態に区民が右往左往しながらとうとい命を失うことは、何としても避けなければなりません。
備えあれば憂いなしです。国家的な危機管理に対して、自治体単独での対応にはおのずと限界があります。しかし、首都圏各自治体と協働して、平素からの備え を積み上げていく作業は重要です。また、BCP(事業継続計画)との連携作業も欠かせません。そこで、国民保護法に基づく避難の初動体制についてどのよう に検討されておられるか、区長の御所見をお聞かせください。
また、二つ目の津波被害勧告等に係る発令基準の策定状況については、被害があり得る全国六百六十市区町村のうち、津波に対する避難勧告、指示などの具体的な発令基準が未策定となっている自治体は、四一・一%との結果を発表しました。
ところで、東京湾の場合は、狭い間口が長く続く奥行きのある袋型で、外洋からの影響を受けにくいと言われます。さらに二〇〇四年、中央防災会議首都直下地 震対策専門委員会において、湾内で同地震が発生した場合、最高の津波の高さは五十センチ未満と想定されています。したがって、専門委員会の想定だけを前提 にしますと、本区の防潮堤の現状から、被害発生の可能性は低いと考えざるを得ません。そこで、本区における津波被害の予想と避難のあり方について、どのよ うに現状を検討されているか、区長の御所見をお聞かせください。
次に、増加傾向を示している結核病への対策についてお伺いをいたします。
御承知のとおり、結核とは結核菌によって体が侵される疾患であり、結核は人から人に感染する伝染病であります。結核は全身性の疾患であるが、約九〇%以上 は肺に起こるので肺結核と言われております。また、感染しても約九〇%の人は結核を発症しない。しかし、菌は肺のどこかで眠ったまま生き続けており、数 年、数十年後にその人の免疫力が低下したときに発症すると言われ、多くの結核はこのパターンに該当されるようです。また一方では、多くは発症しないまま一 生を終えるとも言われております。
さて、結核の現状は、全世界では毎年約八百万人もの新しい結核患者が発症し、約三百万人が死亡している疾患で あります。日本では毎年約三万人の新たな結核患者が発生しており、深刻な状況にあります。日本における特徴としては、高齢者に多いこと、集団感染が増加し ていること、若い人も増えてきていること、重症の人が多いことなどが挙げられております。
結核菌の感染がはっきり確認されたのは、一昨年末時点で六万二千二百四十四人で、この年には二千二百十六人が亡くなっており、死者数で見ると、国内最大の感染症であることが判明しております。
さて、日本では明治末期から戦後の一九六〇年まで、毎年十万人以上が亡くなっており、若いころに結核を患った人も多くいます。その後は順調に患者が減って きていますが、八十年代から減る数が少なくなり、一九九七年には患者数が増えて前年度を上回っている現状にあります。そのため国は一九九九年に緊急事態宣 言を出しました。二〇〇七年の人口十万人当たりの罹患率は一九・八%で、他の先進国に比べても多い状況にあり、WHO(世界保険機構)の基準で見ると、中 蔓延国という位置づけになっております。その原因は、高齢化社会が影響していると指摘されております。二〇〇八年の新規患者の三人に一人が六十歳以上と なっております。若いころに感染して症状がおさまったのが、年をとって免疫力が低下し、残った細菌が活気を取り戻して発病する危険性が指摘をされておりま す。
また、毎年四十件前後の集団感染の報告もあります。最近は自衛隊の駐屯地や千葉県の中学校で集団感染の発表がありました。病院やネットカフェ、学習塾、パチンコ店で感染が広がったという報告も少なくありません。
結核予防会結核研究所の石川信克所長によると、受診や診断のおくれも大きく影響していると指摘をしております。現代は最初から結核を疑う人が少ないし、医師が見落とすことも指摘されております。
本区の結核発生状況については、平成二十一年新規患者登録者数は百五十七名で、その内訳を見ると、十九歳以下の患者数は四名、六十五歳以上の患者数は五十三名、そして感染性結核の患者数は七十八名となっております。
そこでここ数年、患者数が減少することなく、むしろ増加傾向を示している現状について、本区のこれまでの結核感染者に対しての取り組み状況をお聞きすると ともに、今後の新たな対策が必要であると考えます。区長の御所見をお聞かせください。特に高齢者の発症が危惧される中、さらなる対応策をお聞かせくださ い。
次に、子育て環境の整備についてお伺いいたします。
本区は年間に六千人もの赤ちゃんが誕生し、平均年齢は四十一歳と若い子育て世代が多く住んでいる街です。子育てしやすい街、江戸川として全国的にも広く知られています。
昨年四月には子育てマップに加え、子育てに関する情報が網羅されているえどがわ子育てガイドが発行され、我が会派が常々「わかりやすい子育て情報の発信 を」と要望を重ねてきたことが形になり、大変にうれしく思っております。中でも乳幼児を持つ保護者が安心して外出するために、子育てガイドの五番目の項目 の「いっしょにおでかけ」に場所の紹介とともに、各区民施設の授乳スペースとおむつ交換などの設置についての情報が掲載されています。
同僚議員 が平成二十年の四定において、公共施設における授乳コーナー等の拡充について質問をし、その後、各施設において整備が進められてきております。また、子ど も未来館などの新設の区民施設においては、わかりやすい場所にすてきな授乳室やだれでもトイレが設置されております。
一方、比較的建築年数の古 い既存の施設における授乳スペースについて調べてみますと、乳幼児を持つ親子での利用も多くある総合文化センター、船堀タワーホール、図書館、プールガー デン、コミュニティ会館等にも、まだまだ授乳スペースが設置されていないところもあるのが現状であります。
乳幼児を持つ親が安心して外出できる 環境整備は時代の要請であり、東京都では平成二十年から赤ちゃん・ふらっと事業を実施しております。この事業は公共施設やその他不特定多数が利用する施設 等に、授乳及びおむつがえの施設を整備するものです。整備費用については、子ども家庭支援区市町村包括事業において、設置費用の半額の補助があります。本 区においては、小岩事務所がこの事業を活用して整備をしています。特に船堀タワーホールの授乳施設は女性センターにしかありません。船堀駅にも近く、気軽 に立ち寄れる場所でもありますので、わかりやすい場所に授乳施設を設置してもよいのではと考えます。
「話そう、働こう、育てよう、一緒に」のポ スターにより、内閣府は六月二十三日から一週間、男女共同参画週間を実施いたします。夫婦そろっての子育ての推進も必要です。お父さんだけで子どもと出か ける姿もよく見かけるようになり、ベビーシートが女子トイレにしかないと困ってしまいます。ぜひ都の赤ちゃん・ふらっと事業を活用し、乳幼児を持つ親子が 利用しやすい環境の整備を推進し、さらに子育てしやすい江戸川区にしていただきたいと考えますが、区長の御所見をお聞かせください。
またこの事 業は、既に赤ちゃんのためのスペースを設置している事業所の登録をすることも目的としています。本区においては、イトーヨーカ堂、葛西臨海公園が登録して います。また、板橋区は赤ちゃんの駅として百二十三カ所を登録し、赤ちゃん・ふらっと事業に参加しております。
今の子育て世代は、インターネット等で調べてから行動するのは当たり前です。だからこそ情報発信は大変に重要であり、経済的支援とはまた別な角度の子育て支援ではないでしょうか。
他区の施設を実際に見て比較しても、本区は大変に充実してきております。であるからこそ、施設の管轄は多岐にわたりますが、区を挙げて設備の拡充はもとより、既に整備が進んでいる多くの施設において、赤ちゃん・ふらっと事業に登録してはどうでしょうか。
また、以前も提案をしましたが、本区の楽子(らっこ)ファミリーのように、本区らしい名称をつけて、公共施設やホームページ上でもわかりやすく表示し、だ れにでも利用できて、区内外に「子育てしやすい街・えどがわ」、「子育て先進区・えどがわ」とのメッセージを発信してはいかがかと考えますが、区長の御所 見をお聞かせください。
次に、松島四丁目にある東京都下水道局のもと公務員宿舎の跡地、そして隣接する都財務局の所有地、合わせて約三千四百平方メートルの都有地の活用について、区長に改めてお尋ねをいたします。
昨年の第三定でも松島北部地域の災害対策の観点から、具体の提案をさせていただきました。当時区長は「都の意向を尊重しつつ、活用のあり方についてさまざ まに相談したい」との御答弁をいただきました。その後もこの跡地利用については、地域の皆様から多様な御意見をいただいております。
例えば、災 害の歴史にある風水害や地震災害対策としての高台広場や避難所施設等の要望。次に、特別養護老人ホームや有料老人ホームなど、高齢者用の介護施設や住宅施 設誘致の要望。これは生まれ育った地元で住み続けたいとの共通した願いがあり、ケアつき高齢者優良賃貸住宅がふさわしいと思います。さらには地域コミュニ ティの熟成を促進させる(仮称)松島コミュニティ会館の建設等々のお声がありました。このような要望は、本区の今後の街づくりにとって共通した課題も多く 含まれると考えます。
そこで改めてお聞きしたいのは、松島四丁目の都有地について購入が実現した場合、本区で活用する見込みがおありでしょうか。もし検討の余地があるのであれば、避難所や高台広場を兼ねる(仮称)松島コミュニティ会館の建設を、ぜひとも御検討いただきたく提案いたします。
また、ケアつき高齢者住宅については、松島地域に限定したものではありませんが、高齢者の新しい住まいのあり方として、本区の今日的課題であると思いま す。その意味から、私たち区議会公明党政調会では、先ごろ大阪府吹田市にあります竜ヶ池ハウスを視察訪問。この施設は医療・介護連携型の高齢者優良賃貸住 宅であり、全国でも品川と並ぶ最も先進的な施設としてさまざまな取り組みを拝見いたしました。高齢者向けの優良賃貸住宅と特養ホーム、診療所、訪問介護施 設等々が合築され、必要に応じた介護と医療メニューの契約が可能となっている点が評価されます。しかし一方では、利用料等がやや高額になっている点が今後 の課題かと思われます。
財政の厳しい中ではありますが、二〇二五年問題を目前にした高齢者の新しい安心の住まいづくりが実現できますよう、国の 新規補助事業も活用しながら、ぜひともお取り組みをお願いしたいと思います。特に低所得の高齢者の方に安心していただけるような新しい住まいのあり方を江 戸川モデルとして、首都圏全域で推進できますよう期待をするものです。区長の御所見をお聞かせください。
最後に、江戸川教職員住宅の跡地の活用についてお尋ねをいたします。
御承知のように、東京都の教員住宅は、職員及び主としてその収入により生計を維持する親族を居住させるため、都教育委員会が管理する居住用の建物としてい ます。また、職員住宅には幾つかの区分があり、江戸川区内における職員住宅は、福利住宅として住宅に困窮している者の居住の用に供するために設置された職 員住宅に相当するとなっております。中でも、江戸川区内各地の教職員住宅は、松島住宅が昭和四十年三月に建設、平成十四年十二月廃止、取り壊しの上、跡地 は区に返還されています。葛西住宅は昭和四十一年七月に建設、平成十六年十一月廃止、区に返還、篠崎住宅は昭和四十二年五月に建設、平成十七年十二月に廃 止され、同じく区に返還されています。以上の三つの教職員住宅は区有地のため、それぞれ区に返還されています。
一方、新川住宅は昭和四十七年九 月に建設、当時は単身向け二十二戸、家族向け十二戸が居住していましたが、その後居住者もいなくなり、平成二十一年十月をもって廃止、取り壊されたところ であります。この新川住宅は都有地のため、区は都に売却を申し入れ、協議中であります。このような中、松島住宅の跡地は区として文書庫に利用、葛西住宅の 跡地は生活援護第三課が今年じゅうに開設が予定となっています。そして、篠崎住宅の跡地は今春より区民待望の篠田堀さくら広場になり、地域の憩いの場所と なっています。
そこで、区長に質問いたします。新川住宅の跡地の活用についてであります。この新川住宅の教職員住宅は平成二十一年に廃止、取り 壊しになりました。地域住民からはその後一体どういう建物ができるのか不安である。また、ケアつき高齢者住宅を建ててほしいなど、さまざまなお声をお寄せ いただいています。中でも区民からの強い御要望には、障害者福祉施設の区立希望の家が新川住宅の跡地に隣接していることもあり、希望の家の定員がいっぱい になり、増築して対応してもらいたいとの声があります。私は多くの区民の声にこたえ、ぜひとも障害者福祉施設として活用すべきと考えます。区長の御所見を お聞かせください。
以上で第一回目の質問を終わります。(拍手)

◎区長(多田正見 君) いろいろ多岐にわたって御質問いただきましたが、お答えをしてまいります。
まず、国民保護法の問題であります が、この法律は御承知のように、武力攻撃というものを念頭に置きまして、ミサイルでありますとか、あるいはゲリラでありますとか大規模テロでありますと か、そういうことに国家的にどういうふうに対応するかという趣旨の法律でございまして、もちろん国民の生命、財産を守るという見地から、どう対応するかと いう一つの枠組みをつくったわけでございます。これは主としてそういうことでございますが、一般的に起きます危機管理というような部類に属することはさま ざまございまして、一つは自然災害もございます。自然災害の場合には台風とか、あるいは地震とか、もう多くの経験則がありますので、そういう中でどういう 対応をするかということが相当程度想定もできますし、またそのことに対する対応もできると、こういうことだと思います。
しかしながら、テロに類 することというのは、いつの場合も全く想定外でございまして、例えば九・一一ということも、だれもが想像し得なかったことがある日突然起こる。あれはロン ドンでしょうか、地下鉄のテロ事件もそうでありますし、またサリンのような事件も、だれもが想像し得ない事件であったと思います。そのときにどうするかと いうことは、これはまことに大変な問題でございまして、国民保護法を中心といたしまして、国家的な危機に直面するだろうというようなことが国家の情報とし て把握できるときに、国家がそれに対して、各区市町村に対してもさまざまな指示や、あるいは勧告をするということもなし得ると思いますが、ある日突然起き るような事態に対して、それを想定して対応するということは極めて困難だということになります。
要人が乗った車が高速道路の一之江あたりで爆破 されたら、つまり高速道路もろともに吹っ飛んでしまったら、さて地元の我々はどう対応するかということは、これはマニュアルで決めておけるような問題では ありません。したがって、私どもはいついかなる事態が起きても、現有組織の中で、あるいは現有機関の中でどう危機管理を克服するかと。そういう問題に直面 するというふうに考えられます。したがって、私たちは全くこのことに対して何もなすすべがないということではありません。その意識を高めるためにある種の モデルを想定しながら、こういうときにはどうするかというようなことについて意識を高め、あるいは関係機関の連携を維持するということのために、それは繰 り返し何かをしていくということは必要なことだというふうに思っております。
具体的にどういうことをやっておるかということにつきましては、最 近葛西の地下駐輪場ができまして、あの中で爆破事件や、あるいは有毒ガスが出たときにどうするかというようなことについて、関係機関もろともに、これは完 成式のときに多くの方が来られましたので、その方々に御観覧をいただきながらやっております。あと土木部長が詳しく説明いたしますが、そういうことは時々 やっておく必要がある。そういうこととは思いますが、このマニュアルをどうするか、あるいは初動体制をどうするかなどということについて、これをきちっと 決めておくというようなことはできない領域のことだと思っておりますので、今申し上げたようなことで、我々は常に意識をきちっと持って、いついかなるとき も現有全組織を動員して、最も適切な行動をとるべく努力すると。そういうことしか申し上げられないというふうに思います。
それから、津波被害のことでございますが、津波は今おっしゃいましたように、いろいろな学説からしますと、東京湾では起こりにくいというふうに言われておりますので、これは想定上、そんなには大した状況にはならないのではないかというふうに考えます。
江戸川区が水ということに対して、どういう備えをしてきたかということについて言えば、これまでもいろいろ申し上げてまいりましたけれども、海水が高潮に よって陸地に入り込むということはかつてはしばしばあって、そのことのために大変な被害を受けて、あるいは人命も亡くすと。そういうことが長年にわたって あったわけでございます。したがって、江戸川区の海岸線四・四キロは防潮堤をつくろうということでだんだんかさ上げをして、最終的には六メートルから七 メートルぐらいの塀をつくったと。こういうようないきさつがございます。これは津波ではありませんけれども、大型の台風が来たら、これは防潮堤を乗り越え て陸地に海水が入ってくると。こういうことでありますから、津波であろうが高潮であろうが、そういうことに対する脅威というものは江戸川区民は常に考えて きたと、こういうことであります。
したがって、あの葛西沖の大開発をやりましたときに、海面であった三百九十ヘクタールは全部埋め立てました が、そこは六メートルの地盤を上げて、防潮堤のかわりにしてかつての防潮堤を壊したと。こういうこともやってきているわけであります。小松川防災拠点もそ うでありますが、スーパー堤防化によって、地震であっても、あるいは高潮であっても堤防を乗り越えることがないように、そういう対策を講じてきたと。こう いうことでありますので、津波だけを取り上げて安全であるなしということにはならないと、そういうふうに思います。
津波は地震によって起きま す。南のほうはそういう形で防潮堤ができておりますが、今江戸川と荒川の河川は堤防が大丈夫かということがあるわけでありまして、これはまことに貧弱であ ります、率直に申し上げて。そこでスーパー堤防化ということもあるわけでありますので、これが地震によって、津波によって切れるか、あるいは高潮によって それが乗り越えられるか。こういうことはわからないわけでありますけれども、まだまだそういうことに対する危険は持っておりますから、そのことに対して時 間はかけても取り組んで、将来とも安全な街づくり、水に対しての街づくりをどうやるかと。こういうことを進めていくというのが今私たち江戸川区の課題であ ると、そういうふうに思っております。
それから、結核につきましては、おかげさまでこれは相当減少しておりまして、江戸川区も減少しております。二十三区で申し上げますと、罹患率としては下から五番目ということでありますので、成績のいいほうだということが言えます。
これはデータを見てまいりますと、平成十六年には十万人に対し三三・二%という罹患率であったのが、平成二十年では二二・九%と、大幅に減少しているとい うことも言えるわけであります。これはいろいろ区としても対策をとってきたわけであります。全体として国も減っているんでありますが、これからもこうした 結核による罹患を減少させるために、特に学校教育でありますとか、あるいはお年寄りの皆さん方に対しても十分な注意を喚起しながら、医師会とか関係者と力 を合わせて撲滅のために努力すると。こういうことに尽きるというふうに思っております。
もう一つ、赤ちゃん・ふらっと事業というのがございます。これは東京都がこの助成を始める以前から私どもは手がけてきておりまして、公明党さんのみならず、さまざまな党派からもこれも御要望いただいたことでございます。
今、ベッドの置いてあります施設は百二十五ということでございます。授乳施設を持っておりますのは九十二施設ということでございまして、かなり進んでいる かなというふうに思うんでございますが、これからもいろいろ新しい施設、あるいはできるところについて、そのような利便を高めていくための努力をしていき たいと、そういうふうに思っておるところでございます。
それから、松島四丁目の下水道局の空き地でございますが、これは今交渉をしているんです けれども、東京都は東京都の都合があるというふうにも言っておりまして、まだどういう都合かということが、中身が教えていただけないんでございますが、直 ちに区にお譲りするというわけにはいかないと。こういうことを言っておりまして、しばらくこれは交渉を続けなければならない課題だなというふうに思ってお ります。三千四百平米ありますので、かなりの敷地でありますが、できればおっしゃったような、高台の効果がどうかということはちょっとなんですが、コミュ ニティ施設などには格好な土地だと思います。空白地帯でもあると思いますので、この土地が手に入れることができれば、ぜひその方向でこの施設を考えていき たい。そういう御要望が地元からもいろいろございますので、ぜひそれを満たすことができればということで、努力していきたいというふうに思っております。
それから、ケアつき高齢者の優良住宅でございますが、これは特にたまゆらの事件を発端といたしまして、都市部における重要な課題となりました。東京都にお いてもそうでありますし、各区においても何とかこれはしなければいけないということです。これから高齢化が進むにつれて、こうした問題が大変大きくクロー ズアップされるわけでありますので、区としても積極的に取り組むべき事業だというふうに考えております。
これは、国も東京都も支援策をつくった りしております。前にお話ししたと思いますが、猪瀬副知事を中心に、東京都は猪瀬プランというものをつくりまして、私たち特別区に対しても説明がありまし た。私もそのとき申し上げましたけれども、やはり民活を中心にできるだけ増やしたいということでありますが、ただこれは東京都完結型を考えておりますの で、地価の高い東京都の中ではどれほどの成果が上げられるかということが一つ問題だということ。
それから、江戸川区は地価が最も安いと申しましょうか、低廉な区でありますので、民活でやる場合には当然そういうところに集中してくることが可能性として考えられます。
私はこの種の事業は、やはりそうした地域バランスということを考えながらやっていきませんと、いろいろ特定の区に特定の将来課題が発生するということはよ くないと。こういうこともありますし、地価の問題を考えますと、東京都内完結型ではないと。私はこれは厚生労働省の、これは長妻大臣にも直接、ではなくし て、そうでしたかね。その前の大臣だったかもわかりませんが、お話をしました。つまり首都圏としてやはり解消すべき問題ではないかということで、都県を超 えて取り組むような課題として考えてほしいということを要望したわけであります。
確かに江戸川区がこういうことに対してかなり量として拡大をし て、そして江戸川区が熟年者の将来の住宅について、安全で安心な住宅が提供できるということは大変好ましい状況でありますが、それをいろいろ公的資金を導 入した場合に、江戸川区民にだけというわけにはいかないという問題が多分出てくるということが想定されます。我々が自分の区で自分のお金を使うということ であれば、それは問題ないと思いますが、つまり民活といえども、経費は安く上げたいということは当然でありましょうから、私はそういうことを十分考えなが ら、この問題を攻めていかなければいけないと思っております。消極的に考えるつもりはありませんが、しかしながら特定の問題を特定の地域が負うということ についてはぜひとも考えていかなければいけない。そういうことを考えるわけであります。
近隣区で、江戸川区と人口は変わらないのに、今私どもは 生活保護費は三百億円でありますが、四百億円という区があるわけであります。これがなぜそうかということは、全くこれは過去における東京都の住宅政策のお かげでありますから、こういうことにならないようにしていかなければいけない。生活保護、あるいは将来の介護保険負担、あるいは医療費負担、そういうこと を高齢化の時代に考えていきますと、やはりバランスのとれた地域社会というものを、東京二十三区では形成していかなければいけないという課題があると思い ますので、そういうことを十分念頭に置かなければいけないと、そういうふうに思っております。
それから、江戸川五丁目の職員住宅の跡地でござい ますが、これは希望の家と隣接をしております関係で、東京都に申し入れをいたしまして、つまりこれは都の土地でありました。したがって、東京都から購入す るということで話がついております。これは購入をいたしまして、今、希望の家だけではありませんが、類似の障害者施設が大変これからも、いわゆる定員を増 やしていかなければいけないという課題がありますから、同種の施設として拡大をすると。そういうことを考えておりまして、地元の皆さんにもいろいろ御説明 をしているところでありますし、また地元区議の皆さんにも、そういうふうに考えておりますということを御説明しているところでございます。
以上でございます。
○議長(須賀精二 君) 土木部長。
◎土木部長(土屋信行 君) 特別な状態を想定しての重大事態危機管理ということで、避難訓練等を行っておりますので、御紹介をさせていただきます。
一つは一之江の地下駐輪場を開設するとき、そしてまた葛西の地下駐輪場を開設するときについてはサリン事件を想定いたしまして、警視庁のテロ特別対策特殊 部隊と東京消防庁の特殊部隊をあわせた訓練を実施しております。また、瑞江駅の地下駐輪場の開設の際には、中越沖地震の直前に実は台風が通過しておりま す。そういうことで、いわゆる大規模地震と大規模台風が同時発生したということを想定して、地域の方々と特殊重大事態の訓練を実施いたしました。
サリン事件を想定した訓練でございますが、致死力の極めて高い劇毒物が閉鎖地下空間にまかれたということを想定いたしまして、まず警視庁の公安機動捜査隊 に出動を要請し、現場に到着した後、どういう毒物であるかを判定する調査をする。いわゆる陽圧防護服というんですか、赤いだるま、黄色いだるま、黒いだる まとよく言いますが、ぷくぷくに膨れた服を着て、絶対に劇毒物は吸わないような状態にした特殊部隊がこの薬物をまず除去する。それから、そこで倒れている 被災者は直ちに搬送者が、だるまみたいな服を着た人ですが、それが除去して、一般者がいなくなったところを見計らって、携帯型ガスクロマトグラフィー物質 分析装置というものを現場ではかりまして、サリンであるとかそれ以外の劇毒物を判定する。最近は硫化水素の発生による自殺なども多発しておりますので、そ ういう毒物を現場において除去、収納、そして現場を除染するというようなことを想定いたしまして訓練を行いました。
あわせて、東京消防庁からは 現場における診療所、現場に病院をつくる特殊な救助車という車がございますので、その特殊救助車を現場に持っていきます。現場指揮所としては、いわゆる空 気テントを張って、東京消防庁、そして警視庁の特殊部隊、それから地元の消防団、こういう新たなテロなどが予測される地下施設をつくりましたので、指定管 理者というか、この場合には業務委託者ですが、それらにその危険性を知らせる。それから、そういうことがあったときに、地域の方々にこういう特殊テロが起 こったときに、どういうことが今準備されているかということを知っていただくということをあわせまして、現場での訓練を行ったものでございます。
地域の住民の方々も、瑞江の場合には京成バスですとか、長崎屋の自衛消防隊ですと瑞江の商店会とかたくさんの方々に、いわゆる総合防災訓練とは違う特殊な 状態での市街地内におけるこういう重大テロ事態・事案、また地震と台風の同時発生を前提とした訓練を皆さんにも体験していただき、同時に避難訓練も行いま した。
以上でございます。
○議長(須賀精二 君) 十八番、中道 貴君。
◆十八番(中道貴 君) それぞれお答えをいただきま してありがとうございました。お尋ねをもう少ししたいのもあるんですが、最初の危機管理の取り組みにつきましては、今のタイミングで総務省の消防庁が初め ての調査結果を発表したということで、このタイミングでなぜこの二つが出るのかということも考えたいところではあるんです。
やはりふだんからの 危機管理に対する意識づくりというものを、この機会にぜひとも持ってほしいというのが、恐らくはねらいの一つではないかと思います。具体的には今、区長が おっしゃったように、突発的な事態に対する事前の予防訓練みたいなものは、現実には確かにこれは想定しがたいものがあると思います。ですから、経験則をも とにした風水害や地震災害に対する備え、これについてはこれまでもずっと積み重ねてきた問題ですし、今後もそれは備えは重要だと思います。特にこれからの シーズンで言いますと台風が、まさに区長がおっしゃったような高潮対策というものが、毎年この時期になってきますと大変心配される問題ですから、経験則で 言いますとそちらのほう、そして首都直下型地震の備えというもの、この二つが今目前として備えなければならない課題だということは、私も十分承知をしてい るつもりです。ただ、このタイミングで消防庁が出したということで、この機会に改めて危機管理というものについて全員の意識の啓発、共有を図っていくべき だろうと思っております。
それと、先ほど土木部長のほうから、実際のサリンを念頭に置いた対策、あるいは地震と高潮との同時被災、発災を前提に 置いた訓練などのお話をいただきました。まさにこれについては、過去のサリン事件と全く同じような事象というのはあり得ないわけであります。しかし、それ に類推するような事態というのは十分に今の段階から備えとして訓練は可能だろうと思いますので、サリンを念頭に置いた取り組みというものも引き続き進めて いただきまして、区民の皆さんの意識の高揚というか、危機意識の日ごろからの備えというものを積み重ねられるように取り組んでいただきたいと思います。
結核病につきましては、さまざまな区独自の取り組みによって、また東京都や国の施策によって、こういう効果を発しているものと思います。ただ、映画監督で もある北野 武さんがテレビのCMでも呼びかけをされています。結核の撲滅に向けた啓発運動としての取り組みだと思いますので、直接の対策はもとよりです が、具体的な対策とはまた別に、区民の皆さんに対する、やはり先ほどの危機管理と同じように、意識啓発をさらに重ねていっていただきたいと思います。
それから、子育て環境の整備についてですが、既に江戸川区独自にも、この赤ちゃんのふらっと事業の趣旨に即した区独自の取り組みがかねてから進められてい るところですが、いま一度区内のさまざまな施設につきまして総点検をこの際やっていただければどうかなと思います。さまざまな管理者が違いますので、区内 のこういった授乳施設などの実態について一度総点検をしていただきまして、過不足なく実施をしていただければと思います。
そして、松島地域の都 有地につきましては、これは本当にかねてより申し上げ、予特・決特でもその都度テーマとして申し上げているところです。仄聞ですが、都の下水道局は今現在 におきましても、この公務員宿舎の跡地についての具体的な計画というものは持っていないというようにもお聞きをしました。そうであるならば、ぜひとも区長 がおっしゃっていただいたように積極的に取り組んでいただきまして、コミ館を中心とする地域の要望の高い施設として、早期の実現をお願いしたいなと思いま す。隣に隣接する財務局の公営駐車場、これは現在使用中でありますが、財務局と両方の窓口になるのかと思いますが、早い段階で地元の皆さんの望まれる施設 として促進をお願いしたいと思います。
それから、最後の教職員住宅の跡地については、全く区長の積極的な御答弁によりまして、福祉施設としての拡大、これを図っていくということの御答弁がありましたので、そのままお進みをいただきたいと思っております。
なお、私どもは江戸川区民の皆さんの福祉の向上に向けた取り組みを常に考えながら、さまざまな地域のさまざまな階層のさまざまなお立場の方々からの、江戸 川区民の声を代弁しようという意気込みでこの本会議に臨んでおります。その意味ではすべてが江戸川区民の要望、声ということをぜひとも念頭に置いていただ きまして、今後の区政の運営に携わっていただきたいと思っております。
以上でございます。