いじめ問題 → 予兆を見逃さない態勢が必要
いじめの苦しさから抜け出そうと、自らの命を絶つ子どもが後を絶たちません。
滋賀・大津市で起きた中学2年生のいじめ自殺事件は、警察捜査が入る異例の展開となりました。生徒たちへの心理的影響が心配です。
市教育委員会のずさんな対応が際立ちます。自殺直後、遺族の求めで市教委は全校生徒に2回のアンケートを実施。男子生徒が「自殺の練習をさせられていた」との回答を無視し、2回目のアンケートの「葬式ごっこ」との言葉の存在を遺族にも説明していませんでした。
責任感の欠如にはあきれるばかりです。もちろん多くの学校関係者は、いじめ撲滅に向けて取り組んでいるのは間違いありません。しかし、現実的にはいじめは減っていません。
文部科学省によれば、小中高校などでの2010年度のいじめ認知件数は約7万8000件で前年度に比べ6.7%増加しました。その一方で、問題に真っ先に対処すべき教員を取り巻く環境は意外に厳しいのです。「教員は残業時間が増え、授業の準備時間も少ない・できない」と文部科学白書2010が指摘するように、教育以外にも多くの労力が割かれている。現場では、「人格の完成」をめざすとの教育基本法の教育目的に立ち返る余裕もない。いじめの解決には、一つには、この本末転倒な状況を変える必要がある。教員が一人一人の子どもと丁寧に接することができるよう、教員数の増加や教員各自の役割分担の明確化などの現場の負担軽減と効率化を急ぐべきである。
その意味では公明党が積極的に推進する「スクールカウンセラー」の設置も重要だ。10年度実績では全国の学校1万6012カ所に設置され、いじめ防止に貢献している。いじめは、どの学校でも起こり得る。しかも根が深く、簡単に解決できない。だからこそ、個々の事例を徹底して検証し、予兆を見逃さない態勢の整備が必要だ。同時に、学校関係者は何よりも「子どもの視点」に立ってほしい。その姿勢こそが、いじめられている子どもたちに希望を与えるからだ。
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