写真は、成人向け雑誌の一部を隠すカバーを最初に導入した、堺市のコンビニでの陳列風景です。
えてして、成人向け雑誌を「隠す」という言葉だけが独り歩きしますが、カバーを付けていても、これぐらい露出しています。その意味において、既に不快に感じ、「もっと隠した方が良い」という意見も出てくるかもしれません(-_-;)
いずれにせよ、抽象的な空理空論は好みません。このように現場に即した議論が大切です。
言いたいことは山ほどありますが、肝心の趣旨をお伝えすべく、この対策を提案した昨年の私の議会質問の抜粋と、それに対する当局の答弁を議事録から紹介させていただきます。
平成28年6月17日第2回定例会
◯1番(桜井秀夫君)
(中略)まずは、成人向け雑誌の店舗陳列についてです。
コンビニエンスストアで売られている雑誌の中に、いわゆる成人向け雑誌があり、それらが分離して陳列されている光景を皆さんごらんになったことがあると思います。
(注:プロジェクター表示)このような光景です。これらは既に日常の光景として定着しておりますが、これは千葉県青少年健全育成条例施行規則第2条の3、有害図書等の区分陳列の方法の(3)以下の規定に基づいて行われているものと考えられます。
(中略)
しかしながら、コンビニエンスストアにとっては、若者や独身者を主たる客層にし、スーパーよりも夜遅くまで稼働していることで差別化を図ってきた創立当初の姿は遠い過去の話で、現在のコンビニは、町の安心・安全拠点として、子供からお年寄りまで、さまざまな年齢層、性別、まさに多様な客層を相手に展開しております。これまでは青少年の健全育成のために有害図書の区分陳列を行ってきたわけですが、このような社会状況の変化を背景に、私のもとに届けられる市民の皆様からの声としては、子育て世代の御両親、特にママさんから子供たちに見せたくない光景として苦言が呈されております。
店のほうは、区分陳列、すなわちゾーニングを条例どおり行っていただいていても、お子さん連れの保護者からすると、トイレを最初に使いたくて足を運んだ先に結果的にまとまって陳列されており、子供の視界に非常に入りやすい状態になっているということです。しかも、成人向け雑誌といっても、このようなアニメっぽい画風といいますか、いわゆるロリータ系の画風は児童、幼児にとって、自分たちと関連のある作品、子供向けの絵本や漫画、アニメと一見勘違いしやすいため、見入ってしまっているお子さんの手をお母さんたちが引っ張って、その場から引き離す光景も目にします。
また、多様な客層という意味では、来日する外国人観光客にとっても、日本のコンビニのトイレは大変きれいで、性能がよく、深夜でも安全に使えるのに、何と無料だと。恐らくチップが要らないという意味だと思いますけれども、そのような極めて高い評価の口コミが流れており、東京オリンピック・パラリンピックでも重要な拠点となることは容易に想像できます。その東京オリンピック・パラリンピックで来日する外国人観光客にとって、そのお目当てのトイレの近くに、いわゆるポルノ雑誌が陳列されていることは、日本の印象としていかがでしょうか。やはり、日本は児童ポルノで問題になったように人権意識が低いと、そのように思われることは、日本にとって、千葉市にとって望ましいことではありません。そこでお伺いいたします。
千葉市として、コンビニエンスストアでの成人向け雑誌の区分陳列について、どのように把握し、評価しているか、お聞かせください。
◯こども未来局長(山田啓志君)
コンビニエンスストアでの成人向け雑誌の区分陳列について、どのように把握し、評価しているかについてですが、本市では、青少年サポートセンターを初め、青少年補導員が行う環境実態調査や各地域の青少年育成委員会による環境浄化活動など、各関係機関、団体が実施している巡回等により実態把握に努めております。
多くの店舗においては、千葉県青少年健全育成条例の規定に基づく区分陳列を行っており、一定の成果を上げているものと考えております。しかしながら、配架手法や子供などへの配慮についての具体的規定がなく、十分な対応がなされていない事例も散見されるため、今後、さらなる効果的な具体的な手法について検討し、対応の強化や改善手法を検討する必要があると考えております。
◯1番(桜井秀夫君)
御答弁いただきありがとうございました。
成人向け雑誌の陳列状況について取り組まれている巡回の状況はよくわかりました。では、先ほど紹介した青少年健全育成条例を所管する県ではなく、市では何ができるかを考えたいと思います。
先日、私は有害図書類を青少年に見せない環境づくりに関する協定をコンビニエンスストアと全国で初めて結んだ大阪府の堺市へ視察で行ってまいりました。
包括連携協定を結んでいる堺市とファミリーマートは、3月16日に新たに本協定を締結し、同日、最初に1店舗で開始、3月末で10店舗、今後承諾が得られた店舗から順次拡大し、最終的に堺市内の全店舗で実施する予定としています。
具体的な対応は、該当する有害図書類にこのようなフィルムをかけて表示板も掲示し、協力店舗であることがわかるように、女性と子供に優しい店と書いたシールを店舗入り口に張り、堺市のホームページで広報をするとしております。聞けば、本事業の年間予算は97万円のみだそうで、政令市の予算規模としては極めて少ない予算であり、当初予定年度を前倒しして実行されています。
こちらが、その現物になります。本市の予算書をくるむと、こういう形になるということになります。で、実際の運用はこのようになっております。
私が堺市役所の後にお伺いしたのは、その第1号店である中百舌鳥駅北口店です。そこでファミリーマートの関係者の方にも現場の実情を伺いました。私が気にしていたのは、現場で従事するコンビニの店員さんたちの手間でしたが、成人向け雑誌に限らず、一般の雑誌には立ち読み防止のための包装等、さまざまな手間が施されており、それらに比べれば、堺市が用意したフィルムは非常に簡単にセットできるよう配慮されているため、大した手間にはならないと、ファミリーマートの関係者の方は評価しておりました。
そこでお伺いいたします。
堺市のように該当図書等にフィルムをかけるなどして、青少年だけでなく育児世代や外国人旅行客にも配慮した措置をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
◯こども未来局長(山田啓志君)
2回目の御質問にお答えします。
成人向け雑誌について、堺市のようにフィルムをかけるなどの配慮をした措置をすべきとのことですが、先行している堺市の取り組みを含め、今後、効果的な手法について調査研究を行うとともに、子供等に配慮した具体的な配架方法や学校近隣の店舗は成人向け雑誌の取り扱い自体を自粛いただくなど、日本フランチャイズチェーン協会等の関係団体に対し協力を依頼してまいります。
以上でございます。
◯1番(桜井秀夫君)
御答弁いただきありがとうございました。
成人向け雑誌の陳列について、まずは、早速、学校近隣の店舗への取り扱いの自粛を依頼していただけるということですので、私も結果、状況などを見守ってまいります。先ほどの実物や映像にはさまざまな感想があろうかと思います。ぜひとも、この当たり前になってしまった日常の光景を改善すべく御尽力願います。
(途中の発言)
成人向け雑誌の陳列方法は、もともとは青少年を有害図書から守ると、そういった性質のものでしたが、今回、問題提起している意図は、青少年を守るというだけではなくて、ほかにも守るものを想定しております。つまり、健全育成条例のように専門的にはパレンス・パトリエ、国親思想と言って、国や社会が親代わりになって子供を有害環境から守るという従来からの考えだけでなく、今回は見たくない権利、自分の子供に見せたくない権利を守るべきとして考えています。
そもそも成人向け雑誌を読んだり、買ったりする人の権利もあるわけです。そのような意味では、たばこをめぐる喫煙権に対する嫌煙権と似た構図です。異なる権利がぶつかっているわけです。そこで生み出された知恵が、オール・オア・ナッシングやゼロサムゲームではない、分煙という考え方であり、先ほどから紹介しているゾーニング、成人向け雑誌について言えば区分陳列となります。ですから、今後は、成人雑誌を区分陳列するあり方、それを見たくない方々と共存できるあり方を具体的かつ丁寧に議論することが必要となります
平成29年度の当初予算案が発表され、千葉市は今夏から、市内の一部コンビニエンスストア(セブン―イレブン12店舗)で、成人向け雑誌の表紙の一部をフィルム包装で覆う取り組みを始めると発表した、との報道が大々的になされました。(下記アドレスから確認できます。)
政令市では、全国で初めて大阪府の堺市が、昨年の3月16日からファミリーマートとの包括協定に基づき12店舗で行っています。
私は、その翌月4月19日に単独で堺市での現地視察を行い(全国で最初の視察だったようです。)、堺市役所とファミリーマートの導入した第1号店に出向いて、現場の関係者から直接お話を伺いました。
そして、6月17日の第2回定例会の議会質問において導入を提案させていただきました。(下記アドレスで確認できますが、次回の投稿で文章を掲載します。)
議会での提案も、どうやら全国で初めてだったようです。
この手の話題になると、「表現規制」の是非などの議論が沸騰しますが、堺市では「規制」ではなく、包括「協定」を結ぶ形をとっていました。
(私も陳列方法を見直すように訴えましたが、「規制せよ」「売るな」とは一言も言ってません。)
千葉市でも、全市展開ではなく、モデル地域で7月から8月までの1~2か月までの期間限定で実施し、その効果や反応を検証したうえで、その後の対応を検討するとのことです。
詳細は次回の投稿で紹介しますが、青少年の健全育成という昔からの趣旨というより、
シンプルに
「子ども連れの母親とその児童の目線」や「外国人観光客、例えばイスラム教圏からの2020東京オリンピック・パラリンピック観光客の目線」
で一度、コンビニの成人向け雑誌の陳列を眺め直すと、
これまでとは異なる視点が見えてくると思います。
つまり、表現の自由や選択の自由と、見たくない権利や見せたくない権利のせめぎあい、共存の模索。
(後日追記:私はここで「表現の自由」と当時書いてますが、この文脈で「表現の自由」を持ち出すことはミスリーディングだと、後で気付きましたので、取り消させていただきます。)
抽象論に陥ってはいけませんので、次の投稿を現場写真と併せて、是非ご覧ください。
私はこの件で、自分の主張だけが唯一正しいなどと声高に主張する気はありません。そんな議員は怖いですよね。
他にいい方法があれば、自論にこだわりません。
そのためにも、私の主張の内容や現場の実態を少しでも理解して頂いた上で、慎重な審議がなされることを願っています。
NHKニュースの動画
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170213/k10010874921000.html
毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170214-00000008-mai-soci
朝日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170213-00000073-asahi-soci
議会質問の動画
http://www.chiba-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=930
FaceBook友人との意見交換に触発され、振り返りました。
写真は、私が住む千葉市稲毛区天台の半径50メートル内の光景です。新築ラッシュとも言える状態です。
天台だけでなく、稲毛区内で建築業者と対峙する住民の方々からお声を掛けて頂く機会が増えました。
完全に間に入ることもありますが、必ずしも反対運動に加わるわけではないため、我が身への期待外れ的な視線を感じることもあります。
自分が心掛けていることは、
・当事者間の対話の場を確保・最優先すること、
・法令や条例の遵守・尊重、
・生活者視点の感情の尊重、
・現地生活者ではない者の主観的・党派的な正義感・大声に惑わされないこと、
・技術的に解消できることはサッサと手を打つこと、
・法人格とは別次元で、業者も市民であることを忘れないこと、
・多数派・少数派から直接意見を聴くこと、
・事案の本質と手続きの次元を混同しないこと、
・現実を硬直化させるスローガンを掲げないこと、
・合意形成を旨とすること、
・調査せずに評価しないこと…
全て理想どおりにはできませんが、粘り強く進めると光明も見えて来ます。
子供たちに恥ずかしくない仕事、活動をしたいと思います。
なんか、単に自身への戒めになってしまいました