週に一度の大学生としてお世話になっております、拓殖大学オープンカレッジ「国際開発教育ファシリテーター養成コース」

 毎週水曜日の講義に加えて、マレーシアでの海外現場研修へ参加。昨年、私はJICA教師海外研修へ参加するため、マレーシア・サバ州へ行ってきました。今回の行き先はその南のサラワク州で、イバン族と共同生活をしてきました。

【命に感謝しいただきます 】

 軒先に椅子とテーブルを並べ、料理を振舞う食堂。昼時のこの時間、いつもは大勢の客でごった返すこの店ですが、お客さんがいません。味が落ちた?やる気がない?そうではないようです。

 訪れた時はちょうどラマダンの時期であり、お店の店主と常連客はイスラムの方でした。ラマダンとは断食だと思っている人が多いと思います。また断食というと、いっさい食事をしないという印象を持っている人も少なくないのではないでしょうか。

 イスラムのラマダンは日の出から日没までの間は飲食しないというもので、逆に言えば、お日様が沈んでいる間は食べ放題というものです。

 発展に伴い食料が豊富になってきたがゆえに、また食欲という欲望に勝てない人達が増えてきたために、教義が歪められてきているとのこと。ラマダンの本来の意味は、飢えを体験することで食べ物のありがたみを知り、自分が恵みを受けていることを実感し、感謝することにあります。

(市場では生きたままの鶏が売られています。とても衝撃的でした。 ↓ )

 私たちの住む日本という国は飽食の時代と言われるように、好きなものを、好きなときに、好きなだけ、食べられる時代です。コンビニ、スーパーにはスナック菓子や調理済み食品、冷凍食品が並び、街にはファーストフード店が建ち並んでいます。

 そんな私たちがラマダンというものを目の当たりにして教えられたこと、それは食に対する感謝の念を持つことの大切さでした。そして、イバン族との生活の中で体験した鶏や豚の屠殺。

 普段何気なく口にしている肉類は、言うまでもなく動物を殺し、我々がその命をいただいているということを忘れてはなりません。

 飼っていた鶏や豚を殺すことを可哀そうであると思うことは、人間としてごく普通の感覚です。しかし、イバン族が行なっていることは彼らが生きていくために行なっていること。そのことを考えるとき、私たちの生活を豊かにし、経済力を向上させるために、強制的に餌を与え、太らせて食用にされてしまうブロイラーの方が余程可哀そうです。

 大量生産、大量消費を繰り返す私たちの暮らしは、生活を豊かにする反面、大量廃棄による環境破壊という問題を地球上に残してしまいました。食料だけではなく木材や石油といったものも、大切に使わなくてはならない限りある資源です。

(↓イスラム教徒にとって豚は汚らわし動物のため、市場でも仕切りで区切られています。)

 日本を含む多くの先進国が開発のために犠牲にしてきたものは、資源以外にもたくさんあります。経済の発展を重視するあまり、うつ病や自殺、無縁社会といった新たな問題が起こっていることも見過ごすわけにはいきません。

 そして今、その先進国に続くマレーシアなどの国も同じ過ちを繰り返そうとしているのかもしれません。ラマダンという風習の是非は別問題として、自らの欲を制御し、人のために尽くす精神を育むという、宗教本来の力を発揮し、良き発展を遂げて欲しいと強く念願して止みません。

【考・持続可能な開発】 

 海外研修も終盤に差し掛かり、オランウータンのリハビリセンターへ行きました。オランウータンを保護し、自然の森林へ返すことを目的としているこの施設。なぜオランウータンを保護しなければならない状態になってしまったのか。そのことから話を始めたいと思います。

 ここボルネオ島では近年、アブラヤシの植林が急激に進められています。このアブラヤシの果実からはパームオイルという植物油を得ることができるため、食用油とするほか、マーガリンショートニング石鹸の原料として利用されています。

 またバイオディーゼル燃料としての利用も進められており、マレーシアの経済力を向上させるために最も注目されているのがこのアブラヤシです。

 かつて日本の洗剤メーカーが、パームオイルを原料とする洗剤を「自然(環境)に優しい…」というコピーを使い販売したところ、誤解を与えるとの批判が寄せられ、撤回に至った例があります。

 ここでいう批判の内容はアブラヤシの植林をするために、野生のオランウータンの他、多くの生物が生息する森林を伐採し、著しく環境を破壊しているという趣旨です。例えばオランウータンの雄たちは大人になると自分が生まれ育った森林を離れ縄張りを確立します。彼らが生き延びるためには、ある程度大きな森林が必要です。しかし、アブラヤシの大規模プランテーションによって、森林は狭くなり、生きていけなくなったオランウータンの保護が始まったというわけです。

 園内に入ると元気なオランウータンが3匹、十数メートルもある高さに作られた巣から餌が置かれている場所まで移動をして食事をしていました。オランウータンを見ることが出来ずに帰らなくてはならない場合も少なくはないとのこと。それにも関わらず食事のシーンを至近距離で見ることが出来ました。

 オランウータンの足は、手のように親指と他の指が向かえ合わせになっていて、木から木へと移動するときも手足を器用に使い、木のしなりを上手く利用しながら移動していました。手や足の一本に全体重がかかる場合もあることから、相当の握力であることがわかります。

 人間に最も近いのはチンパンジーかオランウータンかという議論がありますが、プランテーションのために森を分断し、オランウータンの住みにくい環境を放置することは、人間が住みにくい環境を作り出すことにつながります。

 パームオイルの経済的価値は誰もが認めるものですが、正しい形での開発、持続可能な開発を考える必要性を感じます。

 

【終わりに】

日本ではキレイなトイレが当たり前。しかし、マレーシアでキレイなトイレを使うときはお金がかかります。しかも、お金を払って使用するほどキレイではありません。←

イバン族の子どもたちは全寮制の学校に通っていて週末にしか帰ってきません。みんなで一緒に川で水浴びをします。お風呂もシャワーもないのです。→

この幼虫、食べました。現地では当たり前のことですが、さすがに最初は勇気がいりました。食べてみた感想はクリーミーで意外と美味しかったです。←

最後にお世話になったイバン族の皆さんと記念撮影。日本との違いに驚くことばかりの海外スタディーツアー 『海外へ行くことで日本を知ることができる!!』改めてそう実感しました。→

 

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