畠山郁朗幹事長が公明党を代表して質疑を行いました。
財源の確保、涵養からの観点でまちづくりをすることについての原稿を担当しました。
財源確保からのまちづくりについて
先にも述べましたように、平成20年度の市税、827億円の内、個人市民税は236億円と市税全体の28.5%を占めています。一方、法人市民税は111億円と13.4%となっており、個人市民税と比較すると約半分です。しかも、新年度予算においては、企業収益の減もあり、法人市民税は市税収入全体の9.3%に落ち込んでいます。
平成20年度の固定資産税280億円の内訳については、個人が150億円の53.7%、法人が130億円の46.3%で個人が多くなっています。
尼崎市は工業都市だから法人市民税が相当多いと思われがちですが、実際は、個人市民税が相当のウェイトを占めています。もちろん、かつては重化学工業都市として日本の高度成長期を支えてきた歴史もあり法人市民税は大変重要ですし、固定資産税は79億円で、個人の土地にかかる固定資産税78億円を上回っています。しかし、産業構造や社会情勢の変化により、尼崎も大きな転換期を迎えています。既存の産業を保護しつつ、産業都市から産業文化都市へと認識を新たにし、個人市民税の確保に力を入れるべきだと思います。文化とは人の集まりです。ところが本市の場合、人口減少に加え、生産年齢人口の市外流出が顕著です。
平成21年度は就業者が増えたことにより納税者数が増え、個人市民税は1.8%の増で予算計上されていますが、納税者数が減少して行く今後が心配されます。
景気変動により増減する不安定な法人市民税に頼るのではなく、安定した財源を確保するためにも個人市民税を増やすためのまちづくりをするべきと考えます。
この点についてのご所見をお聞かせください。
時代の潮流に身を任せるのではなく、積極的に誘導していく姿勢が本市に求められていると思います。如何にして財源の涵養、確保をするかが財政当局の悩むところです。地方自治体で独自の税を新設することは住民に理解されるところではありません。なんとか、新しい財源はないものかと思案している時に出てきたのが、「ふるさと納税」です。自治体の力の入れ方によってその実績はさまざまですが、関西で一番は、やはり大阪市です。平成20年の1年間で、2886件の6億6700万円が寄付されています。金額で2位の池田市は、情報通信大手のヤフーと提携して、ネット上でクレジットカード決済が出来る寄付制度を活用しています。寄付件数が2位の守口市は459件、3位の池田市が417件、4位の茨木市が135件などとなっています。
宝塚市のふるさと納税は「歌劇のまち」や「手塚治ゆかりのまち」などをアピールして寄付を募っています。また、西宮市は甲子園球場周辺の整備などに寄付をつのるなど各自治体の特色を生かしてふるさと納税を活用しています。
尼崎市では、平成21年1月末で、「ふるさと納税」は22件の202万6500円となっています。22件中14件が市職員ですが、職員のふるさと納税も良いと思いますし、さらに尼崎市民に対し“ふるさと尼崎”への寄付を積極的に呼びかけるべきと思います。市民の寄付を促す為には、特色ある事業に活用することで呼びかけるべきですが、現在公開している活用使途はどこにでもあるありふれたものばかりです。環境保全や環境啓発などは全国どこでも共通です。尼崎がかつては公害のまちだったので「環境を」という考え方は現在ではあまり説得性がありません。尼崎市には宝塚や西宮のように市内外にアピールできる魅力あるものはありませんので独自で活用使途をつくり、PRすべきであると考えます。
そこで提案ですが、近松賞を核として各種の近松事業を安定的に推進する為に「近松基金」を、また、学校飼育動物、野良猫対策、収容動物譲渡事業などを目的とした、全国初の「動物愛護基金」を創り、広くPRして「ふるさと納税」を拡大し、尼崎のまちづくりに寄与する財源の確保を目指すべきと考えますがご所見をお聞かせください。
特に動物愛護基金については、アニマルセラピーやホースセラピー、あるいは犯罪の再犯を防止する為に刑務所内で受刑者に盲導犬訓練を取り入れたり、動物の存在が再認識されている中で、兵庫県の民間施設では年間1億円以上の寄付があり、動物への関心の高さが伺えます。