邦人人質の解放はかなわなかった。痛恨の極みである。ご家族の心痛はいかばかりであろうか。人の命を自己主張の“手段”として恥じない勢力に対し、世界は厳しい目を向けている。

過激組織「イスラム国」が人質の後藤健二さんを殺害したとする映像は日本時間の1日早朝にインターネット上で公開された。政府は、映像に映った人物が後藤さん本人である可能性が高いと判断した。湯川遥菜さんに続く残虐非道な行為である。

われわれは人命を盾にした卑劣なテロ行為を断固非難する。同時に、安倍首相が閣僚会議で示した「テロに屈することは決してない」「中東への食糧支援、医療支援といった人道支援をさらに拡大する」との政府の姿勢を支持する。

政府は人命第一で対応してきた。「イスラム国」と直接交渉のルートがない政府は、ヨルダン、トルコをはじめ、宗教関係者や有力な部族長らに仲介を依頼するなど、あらゆる努力を尽くしてきたと思う。しかし、「イスラム国」から政府への接触はなかったようだ。

今回の人質事件で「イスラム国」は当初、日本政府に対して2億ドルという巨額の身代金を要求してきた。ところが、湯川さん殺害後は一転してヨルダンで収監されている死刑囚の釈放を求めた。最終的な目的は何なのか、いまだにはっきりしない。インターネットを“「イスラム国」の広報”に悪用しているかのような印象さえ受ける。

「イスラム国」は今回の映像で「日本の悪夢が始まる」と挑発、一方的に日本を敵視する考えをあらわにした。

これに対し菅官房長官は、在外邦人の安全確保と、国内におけるテロの未然防止に努める方針を示し、さらに、テロリスト入国阻止の水際作戦として、空港など重要施設の警戒・警備を強化すると訴えた。政府は邦人の保護に全力を挙げてほしい。

テロ対策について、公明党の井上義久幹事長は1日のテレビ番組で「より根本的には『人間の安全保障』の観点で長期的な支援を強化することが日本のあるべき姿だと思う」と訴えた。この考え方は国際社会も共有している。テロ対策をさらに進めたい。

公明新聞:2015年2月2日(月)付329045565_a286fb7dcc_o

 

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