厳しさを増す日本の安全保障環境に対応する重要な戦略である。

政府の宇宙開発戦略本部が、2015年度から10年間の方針を定めた新たな宇宙基本計画を決めた。安全保障能力の強化が柱である。

13年度から5年間について定めていた現行計画を、わずか2年で改定した。宇宙の軍事利用や強引な海洋進出を続ける中国などの動向に対応するためだ。

08年に制定された宇宙基本法で安保への利用が解禁されたが、具体化が遅れていた。本部長を務める安倍首相は、「歴史的な転換点となる」と強調した。着実に取り組んでもらいたい。

新計画では、宇宙関連技術を「外交・安保政策、自衛隊の部隊運用に直接的に活用可能なものとして整備する」と明記した。

具体的には、高精度な位置情報システム(日本版GPS)の核となる「準天頂衛星」の体制整備を挙げた。現在の1基から7基に増やし、日本上空から常時、測位情報を発信できるようにする。

準天頂衛星は、土木工事や農作業での車両の自動運転など、主に民生利用されてきた。

米国のGPSも、カーナビなどに使われているが、本来は部隊を展開する際の位置誘導など、安保evangelion5分野での活用を目的に開発された。この分野で今後、日米のGPSの連携を強化する。

中国は07年に人工衛星をミサイルで破壊する実験を行うなど、衛星への攻撃能力を高めている。

米国のGPSが機能しなくなった場合、日本のシステムによって補完することが可能ではないか。宇宙での日米協力を、日米防衛協力の指針(ガイドライン)改定に反映させることが大切だ。

既に安保分野で状況分析に用いられている情報収集衛星は、観測精度の向上や基数増を目指す。

近隣諸国のミサイル発射を素早く感知する早期警戒衛星の要否も検討する。12年に北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射した際は、米国から情報提供を受けた。

早期警戒衛星導入には兆単位の巨費がかかるだけに、費用対効果を考慮した議論が求められる。

宇宙産業の基盤強化も重要だ。民間に高度な技術がなくては、衛星やロケットの安定的な打ち上げは望めない。基本計画は、具体的な打ち上げ予定を工程表として示すことで、産業界が投資計画を立てやすいよう配慮した。

人材の育成を含め、官民連携で日本の宇宙技術を向上させる中長期の取り組みが肝要である。

2015年01月16日 01時14分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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