超高齢社会で社会保障制度を維持するには、膨張する介護費の伸びの抑制が欠かせない。

政府は、介護保険サービスの公定価格である介護報酬を2015年度から全体で2・27%引き下げることを決めた。9年ぶりのマイナス改定だ。過去最大だった03年度の2・3%に次ぐ下げ幅になる。

介護報酬は、提供したサービスの対価として、介護保険から事業者に支払われる。

スタート時の00年度に3・6兆円だった介護保険の総費用は、14年度には10兆円に達した。今後10年で倍増する見込みだ。

介護報酬を1%下げれば、総費用が年1000億円減るとされる。消費税率10%への引き上げが先送りされ、社会保障の財源確保が遅れる中、歳出抑制のために報酬引き下げはやむを得ま805-6695-I-B18い。

引き下げにより、財政負担だけでなく、加入者には支払う保険料が軽減されるメリットもある。

財務省は4%程度の引き下げを求めていた。ただ、事業者の経営が極端に悪化すればサービスの低下を招きかねない。今回の改定率は、財政状況と事業経営の双方に配慮した結果と言えよう。

一方、介護職員の待遇改善に関しては、計画的に取り組む事業者への加算を拡充する。

介護現場では人手不足が深刻化している。最大の原因は待遇の低さだ。平均賃金は月22万円で、全産業平均より10万円も少ない。賃金を月1万2000円程度アップできるよう、別枠で費用を確保したのは適切な措置である。

加算分が確実に賃金アップに反映されるよう、行政の厳格なチェックが必要だ。

団塊の世代が75歳以上になる25年度には、介護職員を今より100万人増やす必要があるとの推計もある。事業者には、さらなる処遇改善の努力が求められる。

厚生労働省は今後、個別サービスごとの価格を決める。介護の必要性が高い中重度者や認知症高齢者向けの在宅サービスなどを手厚くする方向だ。

特別養護老人ホームは、大幅減額になる。平均3億円もの利益を蓄えていることが背景にある。設備や職員の待遇の改善を怠っている施設も少なくない。

経営状況は施設ごとに異なる。報酬の一律カットで、サービス向上に努めてきた施設が経営難に陥っては本末転倒だ。

報酬の加算方法を工夫するなど、良質な事業者が報われる仕組みにすることが重要である。

2015年01月14日 01時15分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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