バックナンバー 2012年 8月

核兵器禁止条約の実現に全力

米国による原爆投下から67年となる「8月6日 原爆の日」を前に、松井一実広島市長と、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行(党広島県本部代表=衆院議員)、日下美香・党広島県本部女性局長(広島県議)の3人に、被爆地ヒロシマが希求する核兵器廃絶・世界恒久平和への取り組みについて語り合ってもらいました。

為政者は「相互不信」打破へ広島を訪れ議論すべき
松井市長

広島市長 松井一実 氏斉藤 市長として2回目の「8月6日」を迎えますね。昨年の平和記念式典で市長は、「平和宣言」の中に新しく公募した被爆者の体験談を盛り込まれました。私は大変、新鮮な印象を受けました。

松井 ありがとうございます。核兵器と国際情勢についての知識・情報や理屈ではなく、「核兵器はあってはならない」という実感や被爆の実相をより分かりやすく、心に訴えるものにしたいと考え、被爆体験談を入れました。

日下 一方、昨年の「平和宣言」では、市長は「世界の為政者たちが広島の地に集い核不拡散体制を議論するための国際会議の開催をめざします」と訴え、2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の広島招致に取り組む考えを示されました。

斉藤 NPT再検討会議は核保有5カ国に核軍縮義務を課した唯一の国際的枠組みで、5年ごとに核軍縮・核不拡散など条約の運用状況を検討する国際会議です。世界のリーダーが広島を訪れ、被爆の実相に触れ、被爆者の体験や思いを共有してほしい、という市長の熱い心を感じました。

松井 NPT再検討会議はこれまで、ニューヨーク(国連本部)とジュネーブ(国連欧州本部)でしか開催されておらず、果たして広島の地で開けるものかな、と思いましたが、国連というシステムと協働し、思いを一つにしてやるという気持ちが大事だと決意し、「ぜひ広島でやってください」と声を上げました。

日下 そのような市長の取り組みが通じ、14年春に、日本や豪州など非核兵器保有国10カ国でつくる軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)の外相会合が広島市で開催されることになりましたね。

斉藤 NPDIは核軍縮に熱心な国々で、NPT再検討会議で合意された行動計画の実施を後押しするための枠組みですので、次のNPT再検討会議の前年に広島で開かれる意義は大きいと思います。

松井 同感です。喜んで受け入れることにしました。「NPT再検討会議を広島で」と言い続けることの値打ちが証明されたと思っています。

日下 私たちは、核保有5カ国のトップが広島で核廃絶を議論するサミットを開いてほしい、という思いを市長と共有しています。市長と共に一歩ずつステップを踏んでいきたいと思います。

松井 核軍縮をめぐって、世界は「相互不信」「疑心暗鬼」の状況がずっと続いています。そうであるならば、原爆を投下されて、こんな悲惨な、悲痛な思いをした人たちがいる、これだけの犠牲を出したこの都市に来て、きちんと核軍縮について話し合ってごらんなさい、と言いたい。為政者が広島でそういうものを実感しながら議論したときには、疑心暗鬼などではない、もっと根元的な問題に突き当たるのではないか。だから、「広島で議論を」と言い続けているのです。それが核兵器のない、世界恒久平和に通じると信じています。

被爆の実相から未来を想像
核使用を止められるのは被爆地が持つ“抑止力” 斉藤氏

党幹事長代行・広島県代表/衆院議員 斉藤鉄夫 氏斉藤 大変、共感します。諸外国の人から、日本は米国の核抑止力(核の傘)に頼りながら、核兵器廃絶を訴えるのは矛盾ではないか、と言われることがありますが、被爆地には、理屈ではなく「核兵器の使用は人間として絶対に許せない」と実感させる力、核の使用をためらわせ、ブレーキをかける力があります。この被爆地の“抑止力”を生かし、核による抑止力に対抗する“逆抑止”をかけていけるのではないでしょうか。

松井 科学技術の進展の根っこには軍事、相手を滅ぼしてもいいという思想があり、そこに最高度の人間の知見と知識が集結している。それが本当に良かったのか。核兵器だけでなく、地球環境破壊など深刻な問題が起こっていますが、科学技術について自ら制約をかけるということを今やらないと大変なことになる気がします。原爆投下から67年ですよ。私たちは、もう悟るべきではないでしょうか。

斉藤 大変、重要なご指摘です。ロケット開発で有名なフォン・ブラウン博士の「宇宙に行くためなら悪魔に魂を売ってもいい」という言葉がありますが、そういう研究者の本質をどう克服していくか。一番大事なのは、その技術を使ったときに、どんなことが起こり、どれだけ多くの人が苦しむのか、ということに思い至る「想像力」です。ヒロシマを、人類の未来を想像させ、感じさせる「場」にしていきたい、と心から思います。

日下 公明党の山口那津男代表は10年8月6日、広島市内で、核廃絶サミットの被爆地開催や核兵器禁止条約の実現などを含む政策提案「核廃絶へ向けて―公明党の5つの提案」を発表しました。

松井 非常にありがたいと思います。私たちの思いをきちんと受け止めていただいた内容と理解しています。私が会長を務める平和市長会議は、世界の都市と連携し、2020年までの核兵器廃絶をめざす「2020ビジョン」の積極的な展開を図ってきました。そのビジョン達成のプロセスとして核兵器禁止条約を2015年に締結させることをめざしています。

日下 8月1日現在、平和市長会議には153カ国・地域から5312都市が加盟し、日本国内でも全市区町村の約67%に当たる1159都市にまで拡大していますね。

広島市が核廃絶の「扇の要」に
恒久平和願う被爆者の体験を後世に 日下さん

党広島県女性局長/県議 日下美香さん松井 平和市長会議は、核兵器廃絶と世界恒久平和を実現するために、「国家」という枠組みではなく、人々が集まる「都市」に参加を呼び掛けています。軍事や外交を扱わない、最も生活する人の生活実感に近い「都市」が平和への思いを共有し、地球全体に広げていく。それが平和市長会議の考え方です。

斉藤 私たちは、平和市長会議をはじめ国際NGO(非政府組織)などと歩調を合わせながら、核兵器禁止条約の実現をめざしていますが、条約の実現に向けた広島市の役割は何だとお考えですか。

松井
どこがリーダーシップを取るかとか、具体的な対応策については、私自身は慎重でありたい。あくまで、広島市は「扇の要」です。核兵器廃絶と世界恒久平和への純粋で一途な気持ちを持ち続ける「原点」「コア(中心部分)」のポジションが広島市の役割であり、広島市にしかできないことだと思っています。

日下
今年3月末で被爆者の平均年齢は78.1歳(厚生労働省集計)になりました。ご高齢になるにつれ、自分たちの被爆体験を後世に残したいという思いが一層、強くなっているように感じます。

松井
広島市は7月から被爆者の体験や平和への思いを語り継ぐため、募集した「被爆体験伝承者」の研修会を始めました。3年がかりで伝承者を養成し、修学旅行の子どもたちに被爆体験を語ってもらう試みです。

日下 素晴らしい取り組みだと思います。私自身も「被爆二世」として、被爆者に寄り添い、平和を願う切なる思いを語っていく決意です。

斉藤 被爆地ヒロシマの願いとして、私が強く感じるのは、一日も早く、原子力に頼らない、原発に依存しない社会に向けて国のエネルギー政策を転換してほしい、という思いです。ヒロシマの心に全力で応えていく所存です。

松井
期待しています。広島市としても、原発依存からの脱却に向けた政府の動きを後押ししていく考えです。

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