はまよつ敏子HP 向日葵通信

2006年08月27日公明新聞日曜てい談─ドクターヘリを全国に
いつでもどこでも安心の救命治療を

救急機器を備え、医師も同乗して救命救急医療で活躍するドクターヘリの全国配備が急がれています。今回は、ドクターヘリの全国的な普及に向け、特定非営利活動法人(NPO法人)「救急ヘリ病院ネットワーク」の國松孝次理事長、浜四津敏子代表代行、渡辺たかお党ドクターヘリ全国配備推進プロジェクトチーム座長(参院選予定候補=比例区)に語り合ってもらいました。

浜四津 私は2年前、ドクターヘリを導入している千葉北総病院を視察しました。その時、ちょうどヘリの出動要請の場に立ち会ったのですが、「ドクターヘリのおかげで、子どもが助かりました!」という母親の弾む声を、今もはっきりと覚えています。
そうした声が当たり前になるように、公明党は、救命救急医療に大きな役割を担うドクターヘリを必要とする誰もが、いつでも、どこでも、安心して利用できる全国配備をめざし、全力で取り組んできました。



國松 そのための大きな一歩として、公明党が先月、ドクターヘリの全国配備を推進するための法案骨子を発表したことを、高く評価しています。この公明党案を中心に、秋の臨時国会に向けて活発な議論が行われ、ドクターヘリを全国に広めていくための法律が早期に成立することを、心から願っています。



渡辺 ドクターヘリを普及していく上で、一番の障害となっているのが費用の問題です。このため、党の法案骨子では、救急患者をヘリで搬送する時には、健康保険や労働災害補償保険などを移送費として支給するよう提案しています。



國松 そうですね。費用負担の仕方を工夫すれば、ドクターヘリの全国展開は決して不可能ではありません。特に、ヘリの運航費用に保険が適用されれば、費用負担は分散されるので、志の高い病院がヘリを導入しやすくなると思います。公明党の法案骨子で、ヘリの運航費の保険による支給が明記されていることは、とても重要です。
私が大使として赴任したスイスでは、税金を投入する公的助成を一銭ももらわずに、医療保険収入と寄付金だけで、ドクターヘリを運航しています。スイスは九州ほどの小さな国で、人口も約740万人程度しかいませんが、救急ヘリの拠点は、13カ所もあります。



渡辺 九州では、福岡県がすでにドクターヘリを1機導入しています。長崎県も11月から1機導入しますが、スイスでは、その10倍以上の数のヘリが飛んでいることになりますね……。



費用負担は一人当たり年額80円


浜四津 ドイツでは、ドクターヘリ導入後、20年間で交通事故による死亡者数を3分の1に減らしたと聞きます。確かに救急車を1台走らせるより、ヘリを1機飛ばす方がお金はかかりますが、そうすることで助かる命のことを考えれば、それは決して高いものではないと思います。



國松 ドクターヘリを1機飛ばすのにかかるお金は、年間で2億円程度です。仮にヘリを各都道府県に1機ずつ配備し、約50機のヘリを運航すると、年間で100億円必要になります。大変な額のお金だと思うかもしれませんが、実は、そうでもないのです。
国民一人当たりの負担として見ると80円ですから、これで助かる命が増えるのなら、安いものです。


浜四津 つい先日、沖縄県の浦添総合病院に行ってきました。民間の救急ヘリを運航しており、関係者の方々から直接、お話を聞きました。救急車ですと3〜4時間かかるような場所で交通事故があった場合も、ヘリを飛ばせば、15〜20分で患者を搬送できるそうです。ヘリがいかに有効であるか、実感できるお話でした。



國松 病院が少ない地域にこそ、ドクターヘリが必要だと感じています。消防庁の統計によると、年間で約450万人が救急車で運ばれていますが、そのうちの約4割の人が搬送に30分以上、また、約26%に当たる17万人は1時間以上もかかっています。特に病院の少ない地域では、救急車だと、患者の搬送に時間がかかってしまうこともあるでしょう。



渡辺 日本では脳卒中や心筋梗塞で亡くなられる方が多いですが、心筋梗塞では90分、脳梗塞では3時間以内で治療するのが理想です。しかし、搬送に30分以上かかってしまうと、治療に適切なタイミングを逃してしまう恐れがあります。



浜四津 人命にかかわる事故などで、重傷を負った患者の救命率を上げるには、15分以内に適切な治療を行わなければならないということも聞いたことがあります。



ドイツでは全国にくまなく配備


國松 「15分ルール」ですね。ドイツでは、「救急医療は15分以内で始めなければならない」と州の法律で定めています。だからこそ、救急車では絶対に間に合わない場合があるため、ドクターヘリを普及させることになったのです。ドイツでは全部で78機のヘリがあり、全国くまなく50キロ以内に配備されています。50キロですと、ヘリなら15分以内で行けます。



渡辺 しかも、ドクターヘリは、患者の搬送時間を大幅に短縮できるだけでなく、患者への応急の治療もヘリ内で行える「空飛ぶ救命救急センター」です。



國松 公明党の尽力で、ドクターヘリの全国配備に向けた法制化が具体的に動き出すことで、国民の関心が高まるのでは、と期待しています。スイスでは、救急車が走れば運転手が自然に道をあけるように、ヘリが飛んだら皆が着陸の協力をするのです。そういうことが普通にできるような環境を生み出していくことも大切です。



浜四津 日本は、ドクターヘリをいち早く導入したドイツに遅れること30年、英国に遅れること20年、米国に遅れること10年といわれています。日本が国民の生命を守ることを第一に考える“救急医療先進国”となるために、今後も全力を尽くします。
きょうは貴重なお話を、本当にありがとうございました。


<國松 幸次氏 プロフィル>
1937年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。61年に警察庁入庁、94年に警察庁長官に就任。99年9月から3年間スイス大使を務め、現在は救急ヘリ病院ネットワークの理事長として活動している。

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