「うつ病」で知人を失って

先の参議院選挙において、公明党は「新しい福祉」を最重点政策として位置づけて戦った。「新しい福祉」とは、従来の社会保障制度の充実に加え、うつ病、家庭内暴力、不登校など病んだ心が人生に脅かす深刻な事態や不安定な雇用、独居老人問題など新たな社会問題に対応する試みである。

最近、身近なところで、前途有為な壮年2人が、相次いで自ら命を絶った。1人は「うつ」の症状にあったと聞いたが、若い頃から知っている2人だけに、その驚きと失意は言葉では言い表せない。
日本の自殺者数は、この10年、ずっと3万人を推移している。その原因・動機の大きな要因の1つがうつ病(経済・生活問題に次ぐ)で、年々増加し、今は100万人を超している。公明党は、うつ病や不安障がいなどの早期発見から社会復帰まで支援する総合的な対策の推進を掲げたのである。

また、100歳を超える高齢者の所在不明が連日報道され、世間を驚かせている。単なる行政上のミスという面もあるが、その背景にある核家族化や地域コミュニティーの崩壊など、日本の社会で、高齢者をとりまく厳しい現実が改めて浮き彫りになったともいえる。希薄化している人間関係を回復し、人々が希望をもって地域・社会の中で生きられるよう、努めなければならないと痛感している。

私たちは、地域ボランティアを育成し、行政だけでなく民間とも連携した地域の支援体制を強化することを考えている。

公明党は、「新しい福祉」で掲げた政策を着実に推進し、安心な社会の実現に全力で取り組んでいきたい。

15年先を目標に「富国強芸」で国作り

NHK大河ドラマ『龍馬伝』を毎週欠かさず、興奮しながら見ている(もちろん、放映後しばらく経ってからDVD で見るのだが)。「江戸」期260年の停滞を打ち破る、幕末の胎動から感じるところはまことに多い。「明治維新」は世界史でも稀なる流血の少なかった市民革命といわれるが、すべては、龍馬が全人的衝撃を受けた「黒船来航」から始まった。

明治、大正を経て昭和20年へと続く80年の歳月は、「富国強兵」の旗印のもと、日本国家の興亡を跡付ける。ペリー来航に目覚めた日本は、やがて清やロシアを破り、遅れてきた帝国主義国家として“狂乱の季節”を過ごす。挙げ句は、マッカーサー凱旋に象徴されるように、一国滅亡の憂き目に直面する。以来65年。その間の旗印は一転「富国強経」。つまりは経済至上主義。1985年の「プラザ合意」をピークに、つかの間のバブル絶頂期は破綻。“失われた10年”は今やさらに10年の自然延長の兆しすら漂う。

この苦境、手詰まりをどう打破するか。明治、昭和と違って平成は、一見「平和」に見える分だけ、前二者の時のようには社会の仕組みを根底的に変えることは難しい。その一方で閉塞感は高まる一方。新たなるファシズムやニヒリズムの到来を憂える論者も少なくない。

あと15年経つと少子高齢社会もピークを迎える。その時は、ちょうど戦後80年に。これを目標に、新たな旗印を掲げて(ちなみにそれは「富国強芸」が望ましい。即ち、文化・芸術大国を目指す)新しい国作りに向けての大論争を起こすべきではないか。

国民目線に立った国会改革

公明党は、臨時国会召集日の7月30日に、他党に先駆け、国会議員の歳費日割り法案を、衆議院に提出しました。党政治改革本部事務局長の私も法案提出に同席しました。

「6日間しか働いていないのに、7月分1カ月をもらうのはおかしい」という批判の声があがるのも当然ですし、国民感覚に合った制度に一刻も早く改めなければならないとの思いで、公明党が先頭に立って取り組みました。

公明党は、これまで庶民感覚とかけ離れた国会議員の特権に国民目線から鋭いメスを入れ、一貫して廃止や見直しの議論をリードし次々と成果をあげてきました。

具体的には、継続25年以上の議員に対して支給される肖像画作製費(100万円)と特別交通費(月額30万円)の廃止。勤続50年以上の議員に対して終身支給される憲政功労年金(年間500万円)の廃止。国会議員互助年金(議員年金)の廃止など、強力に「国会改革」を推進してまいりました。

私どもの法案提出が議論の呼び水となり、8月3日に与野党は、国会議員歳費の日割り支給について、参院選で初当選した議員と返り咲いた議員らを対象に、一部を自主返納できるようにする歳費法改正案を今国会で成立させることで正式に合意し、6日の参議院本会議で可決、成立しました。また、歳費を月割りから日割りに改める抜本的な制度改正は、公明党など野党が法案提出したことを踏まえ、秋の臨時国会までに与野党間で協議を行い、抜本的な法改正の結論を出すことになりました。

8日間という短い会期内に、国会議員の歳費の一部を自主返納できるようにする歳費法改正案が成立したことは、国民の声が国会に届いたことになり、一歩前進ですが、本来の私ども公明党の考え方からすれば、歳費に限るのではなく、文書通信交通滞在費と公設秘書の給与も日割りにするのが筋です。私どもが提出した法案は、これらも日割り支給の対象にする抜本改正の内容となっています。秋の臨時国会で公明党案の成立をめざし、さらに国民目線に立った国会改革をリードしてまいります。

「いのちを守る政治」実現に全力

支持者の皆さまの並大抵でないご支援により、第22回参院選挙の比例区で4期目の当選をさせていただきました。
当選確実が打たれたのは投票日翌日の午前7時を過ぎており、一時は、覚悟を決めました。これからの6年間は生まれ変わった決意で戦い、歴史を残す決意です。

集中豪雨が各地に大きな被害をもたらしています。私はこのうち岐阜県の被災現場を直ちに調査し、お見舞いを申しあげました。
避難勧告をもっと早い段階で出すことはできなかったのか、道路通行止め規制はなぜ行われなかったのか、河川改修の進め方に問題はなかったのか、間伐が行われていない山林の整備をどうするのかなど、多くの課題が提起されました。

長年、地域にお住まいの方も、これほどの雨量は経験したことがないと言われます。時間雨量の想定を見直すことを初めとして、これまでの常識にとらわれない災害対策が必要であると考えます。

ねじれ国会でキャスティングボートを与えて頂いたことを活かして、「いのちを守る政治」の実現に全力で取り組んでまいります。

真面目で誠実に生きる姿勢

皆さま方のお力により、7月11日、参院選で選挙区3人、比例区6人の当選を果たすことができたこと、心より感謝の思いです。

私たち公明党は763万9432票の重みをしっかりと受け止め、今まで以上に世界平和と一人一人の幸せ実現のために実効ある政策を実現し、お返ししていきたいと思っています。

選挙期間中、どのような場所においても私が言い続けてきたことは二つ。一つは公明党の支持を一人でも多く広げていきたいこと、それが公平公正な社会をつくっていく基盤になると固く信じているからです。

そして二つ目は民主党の横暴な国会運営に激怒していた私は、これでは日本が崩壊していくと思い、絶対、民主党に過半数を取らせてはならないという決意を持っていること、どんなことがあってもこの選挙においてその二つを達成したいという思いを熱く、強く訴えてきました。

その二つは少なくとも結果を見ることができたと実感しています。763万余票を頂くことができたのは、常日頃の支持者の方々の、誠実で真面目な人間関係、絆の構築以外の何ものでもないとの思いです。

選挙中に多くの方から、支援者の方々が日常生活の中で細やかに手を差し伸べ、それが大きな力や励ましになっているというお声を頂きました。そうした積み重ねの結果が、どのような状況にあっても変わることのない揺ぎ無い基盤として公明党の存在があるのだと確信しました。

多少の票の増減があったとしても、マスコミの毀誉褒貶の影響を受けることなく、各自の聡明な判断によってこれだけの票をいただくことができる公明党は、党を支持してくださる一人一人の日常生活の真面目で誠実な生きる姿勢の結果だと痛感する時、心より敬服し、胸に刻んでいきたいと言い聞かせています。

「心をいやす・命を守る福祉」うつ病、がん対策が前進

今年4月6日、私が事務局長を務める党うつ対策ワーキングチームで、公明党が推進し4月から保険適用(1日420点)になった「認知行動療法」(カウンセリングにより自己に否定的な物事の捉え方を自ら気づかせ修正する精神療法)について厚生労働省から取り組み方針を聞きました。

今までは精神科に限定されていたカウンセリングが、心療内科などでも保険適用が認められ、かつ、厚生労働省のホームページに公表されているマニュアルに忠実に沿って行えば良いという当面の運用方針です。

今後は、夏以降に行われる2日程度の研修でさらに取り組める医者とさらに増やしていきたいということです。私からは、今後、16回のカウンセリングを医者と臨床心理士などが協力して行う体制を検討するよう要請しました。

さらにがん対策について、外科的手術、放射線治療、化学療法に次ぐ第4のがん治療として期待され、のべ約2万7000人(350カ所)のがん患者が治療を受けている「免疫細胞療法」ですが、2008年12月に党がん対策本部として、厚生労働大臣に申し入れを行いました。

免疫細胞の培養の業務委託を法的に認め、医療機関間の委託基準作成を2009年度中に、医療機関以外への委託基準作成を2010年度中に、併せて保険適用についても検討を行うことを内容とする規制改革の閣議決定が2009年3月に行われました。

これを受けて、今年4月、医療機関間での業務委託、つまり免疫細胞の集中的な培養が可能となり、そのコストダウンに一歩前進させることができました。さらに、2010年5月25日、大塚内閣府副大臣(規制改革担当)に、一部保険適用を早期に実施する「高度医療評価制度」の適用など、患者の経済的負担の軽減策を要望しました。大塚副大臣からは、「6月末の行政刷新会議へ報告したい」旨の前向きな回答を引き出しました。

「心をいやす・命を守る福祉」公明党は、さらに政策を実現してまいります。

他人事でないメキシコ湾の原油流出事故

メキシコ湾での原油流出事故は経済や環境に深刻な影響が出ています。海洋国家である日本にとって他人事ではありません。

わが国では、平成16年、船舶(タンカーを除く)が積載していた油で油濁損害を起こした場合の船主の責任や被害者への損害賠償について規定した「油濁法」が改正されました。

これにより100トン以上の外国船舶は、船主責任保険に加入していないと、日本国内の港に入港ができなくなりました。当時、北朝鮮船籍の船舶の保険加入割合が低いということから北朝鮮船舶の日本入港ができなくなるといった報道をご記憶の方もいらっしゃると思います。

ところがこの改正が結果的に海洋汚染を引き起こしかねない事態が発生していることを知りました。油漏れを起こした船舶が、どうせ保険に入っているのだから余分な作業をする必要はないという身勝手な考えに立ち、船主の義務として課せられている海面や海底のクリーニングを事故直後の段階で迅速に行わないケースがあるというのです。その結果、油による汚染の範囲が広がります。

また、保険会社の了解なく行った作業は保険負担されないことから、船主は保険会社の指示による作業しか行わず油濁防止の作業は遅れがちになり被害は拡大します。過日の参院国交委員会で問題提起したところ事態を知った前原国交相は「大変遺憾」と答弁しました。法改正など万全な体制作りに取り組んでいきたいと思います。

公訴時効の廃止と犯罪被害者支援

八王子スーパー店員射殺事件(95年7月)、上智大生殺害事件(96年9月)や世田谷一家殺人事件(2000年12月)などの凶悪犯罪が未解決のまま時効が迫る中で、被害者の遺族等から公訴時効の廃止を訴える声が多くあがるようになりました。
公明党法務部会でも、昨年1月から「あすの会」を初めとする被害者団体や日弁連、関係省庁から9回にわたってヒアリングをし、法務委員会で議論し、検討を進めてきました。

このたび、今国会に、人を死亡させた罪であって死刑に当たるものについては、公訴時効を廃止し、法定刑に懲役・禁錮が定められているものについて公訴時効期間を延長し、法施行時に時効が未完成なら適用するという内容の「刑法及び刑訴法改正案」が提出され、4月27日に成立。即日公布施行されました。

公訴時効は、罪を犯しても一定の期間を経過すると検察官が起訴できなくなる制度で、その趣旨は、事件から長期間経過すると、(1)証拠が散逸し、被告人の不利益になる(2)被害者等の処罰感情が薄れる(3)一定の期間、処罰されないという事実状態を尊重する、というものです。

しかし、人の生命を奪った殺人などの犯罪について、時間の経過によって、確実な証拠による真犯人が処罰されなくなることは妥当ではなく、「逃げ得は許さない」という観点から、今回の改正案に賛成することとしました。私は法務委員会において、(1)被告人の防禦の機会を適切に保障すること(2)真相解明に資する証拠品及び捜査資料の適正な保管(3)時効廃止対象に性犯罪やひき逃げ事案等を含めることを検討すること(4)犯罪被害者や遺族のための施策の一層の充実、等を主張し、附帯決議に盛り込むことができました。

今後とも、えん罪の根絶を目指すとともに、犯罪被害者やご遺族の方々の切実な要望の実現に取り組んでまいります。

うつ対策「認知行動療法」の保険適用を実現

平成20年4月、多くの現場の声に答えるため、私は党内に「うつ対策ワーキングチーム」を設置しました。専門医や関係団体、経済界、労働界などから意見を聴取し、(1)早期発見・早期治療の推進(2)受診率の向上(3)精神療法の拡充(4)安心して治療に専念できる社会づくり(5)患者の社会復帰の促進──の5つの柱からなる、20項目の総合的なうつ対策の提言を発表。同年7月に厚生労働大臣に提出しました。

この提言の中で「認知行動療法」という精神療法の拡充強化を掲げています。私は沖縄で認知行動療法を実践し、画期的な成果をあげている総合精神保健福祉センターを訪問し、この認知行動療法がうつ病に有効であることを認識しました。イギリスでは2008年からこうした心理療法を希望するすべてのうつ病と不安障がい患者に、国が治療を提供する「心理療法アクセス改善プログラム」を導入しました。また、3年間で約346億円を投じ、心理士3600人を養成することをめざしています。

わが国では、2010年度の診療報酬改定で「認知行動療法」の評価が新設され、健康保険の適用となりました。まさに、公明党の主張が実現したのです。しかし、この療法を実施できる医師の不足が喫緊の課題であることを、3月31日の衆議院厚生労働委員会でも訴えました。人材の養成に関しては、今夏から、実施者を養成する研修が開始される予定です。この日の「うつ対策」に関する質疑は、党派を超えて様々な反響がありました。いかに、心の健康の問題で悩んでいる人が多いかということを、改めて実感します。

家庭や地域のあり方が大きく変化し、雇用情勢が極めて厳しい時代。真に人々の悩みに応えるキメ細やかな「新しい福祉」に、これからも挑戦し続けていかなければならないと決意しています。

5月政局

風薫る爽やかな5月となりました。皆さまの御壮健を心よりお慶び申し上げます。さて国会は、世間の爽やかさとは裏腹に「5月政局」に向けて暗雲が垂れ込んでいます。会期末を1カ月後(6月16日)に控えて、連休明けの国会はまさに大荒れの終盤国会になりそうです。

1)小沢幹事長に対する「起訴相当」の検察審査会の議決は、永田町に激震を走らせました。「検察が白の結論を出したのだから、私は潔白だ」と言い続けた小沢氏の論拠が、もろくも崩れた瞬間でした。

小沢氏も民主党も、国民に説明責任を果たすべきです。数に ものを言わせ「臭いものにフタ」をするやり方は、断じて許せません。

2)普天間移設問題は、鳩山総理の「命取り」になりかねない大問題です。県外移転を目指し5月末までにアメリカも沖縄県民も納得する結着をすると公約をした鳩山総理の発言は重大です。選挙前にあれほど明確に「国外、最低でも県外へ」と公約しておきながら、今になって「あれは公約ではない」とか「やはり沖縄県内に」というのでは、到底納得できません。

5月末までに公約が実現できないのであれば、鳩山首相は退陣すべきだと思います。

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